第17話
「では経過もいいですし、一応明後日もう一度見て経過が良ければ退院しましょうか。」
「あっ…。」
「うん?どうした?」
そういえば、私には帰る家が無かったんだった…。あの家には戻れないし、ほかに行く当てもないし…。
「私…帰るとこ、ない…。」
「俺のところに来ればいい。」
「えっ?」
思わぬ言葉に聞き返してしまった。
「だから、俺のところに来い。」
「いいの?だって…。」
「俺がいいって言ってるんだから何も問題はない。お前は俺の目の届くところにいろ。」
私が奏のお家に?いいんだろうか。こんなに幸せになっていいのだろうか。
「俺はお前に家に来て欲しい。家に来て俺の傍にいて欲しい。だめか?」
奏はまっすぐ私を見てそう言った。
「本当にいいの…?きっと後悔する…。私なんか来なければよかったって…。」
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