第10話
「俺も質問していいか?」
その問いに頷く。
「じゃあ、まず2つ。お前の名前と喋れない訳を教えてほしい。」
私は紙に自分の名前と喋れない訳を書いた。
”私の名前は佐咲 結(ささき ゆい)といいます。喋れないのは…私の声は汚い、から…”
その答えを読んで彼の端正な顔が僅かに歪んだ。
「汚いとはどういうことだ?教えてくれるか?」
その問いに対して再び紙に答えを書く。
”私は汚い存在だから、私の声も汚いって言われた。だから、声を出すなって。”
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