第11話

あー、しょうがねえ。




中、入れないし。




加瀬に呼ばれた、部室のドアの前で。




うずくまってる女に、俺は声をかける腹をくくった。




「……寝てんの?」




と。





「わ!ご、ごめんなさい」




俺の声に、あわてて、女が立ち上がる。




…………。





俺の顔を見上げた、その顔は。




何だっけ?




あの、顔だけ真っ黒で、体はやたら白いの。




よく、家の近くを散歩してる……。




あの犬、そっくり。





「ゆ、ゆ、遊佐くん!」





うわ。




しかも、どもってるよ。








なあ、加瀬。





どうして、俺が、この女とバンドなんかやらなきゃいけないんだ?

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