君がいたから。

ましゅ

君がいたから。

「学校だけが全てじゃないよ。」


あなたの言葉でわたしはどれほど救われただろう。




2年前の高校1年生の冬、わたしは学校に行けなくなった。


理由は人間関係が悪くなってしまい、次第にいじめられるようになったからだ。


わたしはその日から自分の生きる意味や価値を見失ってしまった。


毎日なにをするにもしんどくて涙が溢れる日々を送っていた。


いつの間にか月日が経って気づけば高校3年生の卒業間近になっていた。


2年前に学校を辞めて通信へと転入したけれど

過去のことがトラウマになっていて学校に通える日も少なかった。


「学校に通えなくて辛い。」


「どうしてわたしがいじめられて学校をやめる選択をしなきゃいけなかったんだろう。」


沢山の虚しさや悔しさ、悲しみなどが込み上げてきた。


その中でも1番強く心にひっかかっていたのは

「学校に通えない自分」というものだった。


本当は毎日学校に通いたかった。もっとみんなと同じように楽しみたかった。


そう思う度に涙が溢れてきた。


その気分を少しでも晴らすべくわたしは外に出て近所の公園にいった。


でもそう簡単に気分が晴れるわけもなく、


「あーこのままいっそのこと消えてなくなりたいな。」


そう思っていたとき、


『あれ!実夏じゃん、久しぶり!連絡返ってこないから心配してたんだよ〜』


声がした方を見てみるとそこには幼稚園から仲が良かった幼馴染の湊がいた。


『元気だった?』


そう質問されたけれどわたしは何も答えられずに下を向いていた。


何も答えられなくて申し訳ないとは思っていたけれど元気だよと嘘をつくこともできなかった。


『なんかあった?』


俯いたわたしの顔を覗き込んで湊は言った。


その優しい表情の湊の顔を見てわたしは泣き出してしまった。


『良かったら俺に全部話してほしい。』


と湊はハンカチを差し出しながら言ってくれた。


わたしは今まで自分が抱えていたことを全て話した。


わたしが話し終わったあと湊は沢山の言葉をかけてくれた。


『実夏は本当によく頑張ったと思うし今も頑張ってる。実夏が学校に通えなくて悔しい気持ちは凄い分かるよ。でも学校だけが全てじゃないことは覚えておいて欲しいな。』



「学校だけが全てじゃないって...?」



『学校って全体でみたら凄い狭い世界なんだよ。

凄い狭い世界だからこそみんな学校に通うのが当

たり前だとか辛い時の逃げ道が少ないから気持ち

がしんどくなっちゃうんだと思うんだ。

だから、少し足を踏み出してみたらいろんな世界が広がってるし沢山の味方がいるよ。』



この言葉でわたしは気付かされた。

わたしが今まで悩んでいたことはただの狭いコミニュティの中だけだったということ。

確かに学生のわたしからしたら学校が全てだと思っていた。

でもそれは狭いコミニュティの中にいるからそう思っていただけで広い世界で考えたら学校だけが全てではない。

わたしは学校に通うこと当たり前という思考が定着しすぎていたのだ。

本当は当たり前なんてない。ただ自分が決めた固定概念のようなものに縛られていただけだった。

学校に通えなかった期間も自分自身と向き合う貴重な時間だったのかもしれない。


そう考えたらすごく気持ちが楽になって今まで悩んでいたことが嘘のように消え去った。


「湊、わたし湊のおかげで大事なことに気づけたよ。本当にありがとう。」


『おっ!俺のおかげか!?じゃあ今から飯でも食いに行くか!もちろん実夏の奢りでな!(^^)』


「もちろん今回のお礼のかわりに奢るよ」


『なんだよ!いつも奢るわけないじゃんって言って俺に奢らせてるじゃん!』


「ちょっと!そんなこと1回も言ったことないんだけど!」


湊のいつもの冗談に思わず笑みが溢れた。


『笑顔になってくれて良かった。

やっぱり実夏は笑顔が1番似合うよ。俺がいつでも笑顔にしてやるからさ』



「...ありがとう。」



『なーに顔赤くなってんだよ!早く行くぞ!ほらよーいドンッ!』


「ちょっと待ってよー!笑」


久しぶりにこんな笑顔になれた。

そしてわたしの悩みも湊のおかげで解決することができた。

ありがとう。さよなら昔のわたし。


そして芽生えたわたしの恋心___



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君がいたから。 ましゅ @mashumochi277

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