第27話

たまに思うことがある。



母さんは俺を跡継ぎにしたいから、過保護すぎるくらい手を掛けてくれるのではないかと。



母さんがしてくれることは全て、俺を跡継ぎにする為にしか過ぎないのではないかと。



俺がひねくれてるだけ?母さんの俺を見る目は、本当に曇りなく、愛情を感じるのだけれど…。





「あら、橘常務?」


「奥様!お久しぶりで…ん?もしや龍成くん?」





社長室に入ろうとしたところで扉が開き、見知らぬおじさんと鉢合わせる。



……あれ?どこかで会ったことがあるような…。





「はい。龍成です。いつも父と母がお世話になっております」


「うわぁ、そんな立派な挨拶をするようになったなんて…、その制服ってことは、もう中等部かぁ!」


「はい」


「いつぶりでしたかしらね」


「三年…いや、もっと過ぎているかな?パーティーでお会いしたのが最後かと」


「パーティーに龍成を連れていったのはそれくらい前だったわね」


「こんなに大きくなられて、代表もさぞかし鼻が高いでしょう」


「ふふ。どうでしょうね。橘常務の御用はお済みなのかしら?」


「ええ。足止めしてしまい申し訳ない」


「そんなことないわ」


「じゃ、龍成くん、またね!」


「はい。また」


「失礼します」

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