第40話

突然階段下の暗がりの壁に押しつけられたかと思うと、距離をつめられる。



昼間だというのに薄暗いこの場所。陰になり先輩の顔がよく見えない。



それが余計に怖さを増していく。



「お前はそんなに俺を怒らせるのが好きなのか?」



周りの音が遮断され、先輩の低い声が脳に響く。



彼の行動、台詞、声音に、いっぱいいっぱいになっていく心と体。



「そ、そんなわけ」


「ないわけないだろ」


「やっ!ややや、ないですよ!大体、怒らせるのが好きな人なんて普通いません!」



ただでさえ怒ってる先輩は怖いってのに、自ら怒らせようとするなんてありえませんから!



「俺は今、かなりイラついてる」


「そんなのわかってますよ!相当機嫌が悪いですよね!」


「わざとやってるとしか思えない」

 

「…わ、わたし、何かしました?」



身に覚えがあるようなないような…。



すると先輩はあからさまにため息をついた。



「なんであの女に翻弄されてんだよ」


「……へ?」



ほん、ろう?って…



「なんであいつ相手に顔赤らめてんだよ」


「え」



な、なんでと言われても!!

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