第12話

い、今、な…



「お前が来ないなら、俺はその女と…」


「──いや!!!」


「──」



無意識に、大声で叫んでいた。



今どこにいるとか、周りのこととか、全く考えられなかった。



やだやだやだやだ。


先輩のクラスに、先輩の好みの人がいるなんて。



先輩に、好みの人がいるなんて。




先輩の言葉が胸に突き刺さり、感じられるのは耐え難い痛みだけ。



呼吸さえ、しづらい。



「いや!絶対いや!」



頭の中が真っ黒。『イヤ』という気持ちしか、出てこない。



「なら、文句言わずに来るんだな」


「─っ、…わかりま…」



顔を上げ先輩の顔をよく見ると、うっすら笑っているように見える。



違う。



見えるんじゃなくて笑ってるよ!



ま、まさか騙され…



「遥!もう時間やばいから戻ろ!」


「わっ!」



またもやいきなり紗耶香に手を引かれる。



「涼介先輩、またあとで!」


「うん!」



手を振り合う二人。



わたしは手を振るどころか、去りながら意地悪そうに微笑む先輩の顔を、しかめっ面で見つめた。



またからかわれたんだ!遊ばれたんだ!



わたしの反応を見て楽しんでたんだ!



ちくしょう!!

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