柏崎家の事情

先輩、新学期です。

第1話

『この目は、君だけを見つめる為にある。この声は、君に愛を囁く為にある。この唇は、君に愛を伝える為にある。この手は、君を抱きしめる為にある。………愛してる』




「うっ………先輩っ………めちゃくちゃ泣けますね!」


「別に」


「うそっ!こんなに素敵なのに!」


「どこらへんが?」


「どこって………最後の台詞だなんて素晴らしすぎて…………わたしあの俳優さんに心奪われたかも」


「……単純。あんな綺麗な言葉だけ並べた台詞、吐き気がする」


「は、吐き気?!信じられないっ!」


「元からラブストーリーなんて興味ないって言ってただろ。どうせならもっと意味のある映画が見たかったのにお前が無理矢理……」


「だってせっかくのデートだし、二人きりも久しぶりだったからどうしても先輩とこの映画が見たかったんです!!ていうか意味のある映画って一体なんですか!!」

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