第33話

滅多に合う事のない、彼女のまっすぐな瞳に、心臓がドクドクと、急激に速度を増した。






『私、浩介が好きよ。』


「…っ、」


『それも、ずっと前から。…ごめんね。今までずっと、はっきりしな――、』



蘭子さんが言葉を言い切るその前に、その身体を引き寄せて、思い切り抱きしめた。



髪から香るシャンプーの匂いと、腕の中に確かにある温もりが、俺をどんどん満たしていっている。




驚いたのか、最初は突っ立ったままだった蘭子さんが、キュッと俺の背中に手をまわしてくれたのがわかった。




『……浩介、汗くさい。』


「スミマセン。」


『ふふ、嘘よ。』


「蘭子さん。好きです。」


『…知ってるわよ。』






ずっとずっと、欲しかった。




やっと、貴女を手に入れた。






◇諏訪蘭子×都築浩介◇

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