第11話
あたしの左隣に立っている堀田さんは、椅子に座っているあたしの頭に手を置きながら、真剣な瞳であたしを見下ろしていた。
ドキン…ッて、一瞬、心臓が跳ねた。
「い、今のは空耳…?」
『この俺の告白を空耳扱いかコノヤロウ。』
「こ!告白って…!」
『お前が新藤さんを見てたように、俺も、お前をずっと見てたんだけど。』
意地悪な笑みを浮かべる堀田さんに、あたしは一気に顔が熱くなるのを感じる。
心臓はもうバクバクで、あたしは咄嗟に俯く。
「き、気付かなかったですよっ。そんな素振り、今まで、一度も……、」
『お前が俺じゃない誰かを想っていたのは知ってたから、隠してたの。』
誰かは今、聞けたけどね。と、話す堀田さんに、あたしは恥ずかしいのやら申し訳ないのやらでごっちゃになって、言葉を返す事が出来ない。
不意に、頭にあった堀田さんの手が、あたしの頬に触れた。
ピクッ!と反応したあたしの顎を持ち上げ、意地悪に笑う。
その瞳に、真っ赤になっているあたしの顔が写っている。
『失恋したばっかだから、とりあえず今日は、予約だけね?』
あたしの胸の辺りを指差しながら言う、艶のあるその低い声に、あたしはハイと答える事しか出来なかった。
《reservation》
―予約―
『とりあえず2人っきりの時は名前で呼び合おうか。ね、岬。』
「え、えぇっ!?そんないきなりは無理ですよぉ!」
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