第2話
「ロレッタの『頬ぶくろ亭』は人手不足とは無縁だろうな」
「妹たちに手伝わせるですからね」
☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡
カランコロンカラン――
ミチっ!
ぎゅむぅぅぅぅ……っ!
「いらっ、いらっしゃいです……い、今、そっちに行くで……くっ、弟妹がみっちみっちで通れないですっ!」
☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡
「――みたいな、な?」
「さすがにそこまで詰め込まないですよ!? あと、頬ぶくろ亭って!?」
ダメか?
ぴったりだと思ったけど。
なんか、ぱんぱんに詰まってそうで。
「やはり、そうなると陽だまり亭を離れるのは少々不安です。たとえば、そうですね……ジネット姉様のお子様が生まれてお手伝いが出来るようになるまでは」
「ふぇえっ!?」
ジネットの子供が、陽だまり亭の手伝いを……?
「一体いつの話だよ」
「い、いえ、あの、いつとか、では、なくてですね、わたしは、あの、アルヴィスタンですので、ですから、その……っ」
「十年後なら、もしかしたら今の私くらいのお子さんがいらっしゃるかもしれませんよ?」
「カンパニュラさんっ、わたしの話を聞いてくださいっ」
顔を真っ赤にして抗議するジネットだが、カンパニュラは涼しい顔でスルーしている。
ジネットイジりの楽しさに目覚めてしまったのか……陽だまり亭従業員が必ず通る道だ。
その気持ち、よく分かるぞ☆
「てんちょーしゃ」
「は、はい。なんでしょうか、テレサさん?」
「おとこのこ? おんなのこ?」
「いえっ、ですから……っ!?」
「まぁまぁ、ジネットちゃん。そんな可能性もなくはないっていう『もしも』のお話だよ」
「そうですよ。もしそんな未来があったら~っていう、おしゃべりのテーマの一つです」
「……エステラがCカップに到達するくらい小さな可能性のお話」
「そこまで小さくないよ、その可能性は!? ただ、Bカップの可能性を残してくれた気遣いは、ありがとう、マグダ」
そこ、お礼言うんだ。
「可能性……ですか…………それでしたら、まぁ」
「ちなみに、店長さんは男の子と女の子とどっちがいいです?」
「わたしは、どちらでも。あ、でも子供たちに囲まれて暮らすのは楽しそうですので、たくさんがいいです」
「……ヒューイット家くらい?」
「ウチを引き合いに出さないでです、マグダっちょ!?」
「いえ、さすがにそこまでは……」
「店長さんに言われると、なんか結構ショックです!?」
ジネットの場合『イジり』じゃないもんな。
でもまぁ、「そこまではさすがに」だよ、実際。
「三人か四人くらいがいいですね」
ジネットの子供が四人…………
☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡
ジネット「うふふ~、いいお天気ですね~」
子1「えへへ~」
子2「おほほ~」
子3「あはは~」
子4「いひひ~」
☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡
「まったりしてんな、おい!?」
「そんな不思議な子供たちじゃありませんもん!」
いや、なんか物凄いジネットの遺伝子を色濃く受け継いでる感じだったけどな、今の妄想。
「でもでも、店長さんの子供なら、きっと店長さんに似て可愛い女の子になるですよ」
「そんなことは……わたしなんて、地味ですし」
「……絶対に可愛くなる。そして、店長に似てわんぱくになる」
「えっ、わたしって、わんぱくってイメージなんですか!?」
さすがマグダだ。
よくジネットのことを見ている。
案外イタズラ好きなんだよな、ジネットは。
ガキの頃は、きっと今よりもわんぱくだったことだろう。
「ってことは、そこら辺のイメージを合わせると、こんな感じの子供になるってことか――」
☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡
ジネっ子「うははーい、懺悔してくださぁぁあーい!」(ばぃんばぃん、ばるんばるん、ぶるるんぶるるん、ぼんよよよ~ん!)
☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡
「足音!? なんか足音が物凄いことになってたですよ、今!?」
「……ロレッタ、今のは足音ではなく乳音」
「全然イメージを合わせてなかったじゃないか。なんでちょっとハム摩呂みたいになってるのさ?」
「すまん、ジネットを見ていたら、つい」
「もぅ、子供にまで! 懺悔してください!」
別に実在するガキにやったわけじゃないのに……
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