第十一章 溶け始めた魔法
――――第十一章 溶け始めた魔法
別れ際、空くんと玲良は連絡先を交換していた。親友だからと止めることをしなかったが、内心、恋美は少しだけ胸がざわついた。空くんの楽しそうな顔を見て、何も言えなかった。数日後、学校で玲良と顔を合わせた時、玲良がいつものようににこやかに話しかけてきた。
「空くんと、いっしょに模試を受けに行ったの!空くん、問題のこといろいろ教えてくれて、すっごいよほんと!開星一緒に受ける人見つかって良かった~、ありがとね!恋美!」
玲良の言葉を聞いた瞬間、恋美はハッとした。空くんと玲良が同じ高校を受験することが確実になった……その事実に、恋美は急に強い不安を感じ始めた。そして、あの魔法のまち針の説明書に書かれていた一文が、鮮明に頭の中に蘇った。
「刺した本人が抜くか、刺された人に運命の人が現れると、針は自然に抜ける。それ以外の条件では折れたり抜けたりすることはない。」
運命の人……その言葉が、恋美の心臓を強く締め付けた。まさか、玲良が空くんにとっての運命の人だったら……?親友であるはずの玲良が、自分の大切な人を奪ってしまうかもしれない。そう考えた途端、恋美はいてもたってもいられなくなった。足に刺したまち針が、まるで警告を発しているように感じた。このままでは、空くんは玲良の元へ行ってしまうかもしれない。恋美は焦燥感に駆られ、いてもたってもいられなくなった。
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