第3話 いる筈だったもう一人の比翼

俺は一ノ瀬迅、本来なら双子だった、同じ病を抱え生まれた、もう片方は女の子だった、生まれて直ぐ手術を受けたが失敗しこの世を去った、同じ手術を受けたのに俺は生き残った。


迅は片割れに生かされたと思っている、一つの体に自分と片割れの命が宿っていると心のどこかで信じている。


小学校教師 「迅君危ない避けなさい!。」


迅当時8歳、解体中のビル、クレーンに吊られた建材が、強風に煽られバランスを失い迅の頭上落ちてくる、しかし建材は迅を囲むように地面に散らばり突き刺さったりと不可思議なことが起こる。


教師 「迅君!・・・・何故君の周りだけ囲むように物が避けているんだ?。


迅の周りは阿鼻叫喚、けが人や、即死した者が多数いる、同級生も病院に搬送されている、迅も擦り傷、切り傷程度だがケガをしている。

それを目の当たりにして見てきた周囲の人々、運がいいと言われればそれまでだが。 


一般人 「君危ない!」 


商店街で車に轢かれそうになると、車が前ブレーキの勢いのまま一回転し喫茶店に突っ込む、迅以外重軽傷者数名。


そんなことが積み重なっていく、大きなケガはないが生傷だけは絶えなかった、周りは恐れ怖がり大人ですら近くに寄らなくなり、不幸を招くとして小学生で付いたあだ名が「死神」と呼ばれていた。


だからこそ親戚や周囲に腹の傷も相まって気味悪がられていた、その結果苛め対象となった。


上級生 「おい!調子に乗ってんだろお前お高く留まりやがって


喧嘩を売られ袋叩きに遭う、翌日には売ったやつが何故か大ケガの重症、いたずらを仕掛けられれば、そのまま相手に返る、そんなことが繰り返される、友達すらできていない。


周りから迅に対する親と姉妹に苦情が来るが柔軟に対応している為、親と姉妹の評価と人気が高い、特に姉妹に至ってはアイドル的な人気を誇る。


結果的に迅は比較対象となってしまう、ファンからは憎らしい存在として見られているようで、狙われることも。


表立った行動はしないが、見えない所で親と姉妹は迅を守っている。


父「お前は気にしなくていい、言いたい奴には言わせておけ、お前は生きていることを誇れ、迅、お前はきっと何かに守られているんだ、それを信じろ。」


父、一ノ瀬大貴、第一空の猛者である、鍛え練り上げられた強靭な精神と強靭な身体持つ男、基本任務のため、あまり家にいることは少ない、スキルは「頑強」「剛腕」「挑発縛り」1千万に1人のトリプルスキル。

巌のような男として隊の中で信頼は厚い、全ての攻撃を受け持つ前衛攻守タンク。


迅、当時13歳。


迅「母さん、美月、結月、探索組合行ってきます!。」


母湊「行ってらっしゃい、無事に帰ってくるのよ、危険だったらすぐ逃げないさいいいわね。」


姉美月「ダンジョンは危険なところだから油断はしないようにね。」


妹結月「お兄ちゃん、無理しちゃだめだからね、絶対絶対帰ってきてね。」


母、一ノ瀬湊、32歳、幼馴染の大貴とは学生婚、大貴と一緒に息子を見守る、親戚の出した条件により息子とダンジョンに潜れない事を歯がゆく思っている。

スキル「縮地」「構え抜刀術」「居合飛斬」「絶対領域」5千万人に1人の4スキル持ち。


姉、一ノ瀬美月、当時14歳、母湊を目標にしている、おっとりした性格だが物事はハッキリ言う、迅の事を一人の男として見ている、迅には非常に甘い、迅以外に興味がない、親戚との付き合いに辟易し敵と認識している、親戚に無理やり紹介されたチャラいド変態婚約者がいる、生理的に無理嫌悪対象お断り返品したいと思っている。

スキル「必中」「貫通」「弱点看破」「エアスナイプ」「錬成」非常に稀で1億に1人の5スキル持ち、憧れの的で、告られる度に袖にされる者達は、迅に殺意にも近い嫉妬を抱く。


妹、一ノ瀬結月、当時12歳、美月同様、迅を一人男として見ている、迅以外に興味がない、ムードメーカー、父の居ぬ間を狙ってやってくる親戚と、金持ち僕ちゃん婚約者が大嫌い、姉妹で暴漢に襲われそうな時、迅が身体を張って助けてくれたのを切欠に迅をスーパーヒーローだと思っている、家族を守る為家中に、監視カメラを設置している、カメラで見る迅の着替え姿に、ハァハァしている隠れムッツリさん。

スキル 「属性魔法」「小威力圧縮」「詠唱破棄」「バッファー」「ヒーラー」美月と同じく5スキル持ち、姉同様告られても袖にする、同様に嫉妬は迅に向く。


所変わって探索者組合、国、企業、個人が依頼やお願いをという形で、金銭、または物で達成すれば報酬として支払われる。


失敗ペナルティーは保険が掛かっている物以外はない、指定期日があるものは嫌煙されがち、基本早い者勝ち、諍いも起きるがそれは個人の問題として、探索組合は関わらない、ある意味モラルがかなり欠如している状態、最低限度のルールしかない。


海外からも探索者が来る、スキルに物を言わせルールに従わない者が多くなりすぎた弊害ともいえる、抑えきれない暴力はとても危険だ、探索組合も対抗するために、強い職員を雇用している、実力のある者がクランを作り運営しコントロールしているのが実情である。


探索者組合に登録に来た迅は、既に周りからの嫉妬にさらされている。


迅「すみません、13歳になりましたので登録をお願いします。」


男性職員「はいこちらに記入お願いしますね、一ノ瀬さん。」


迅「え?何故俺の名前を?」


男性職員「当然じゃないですか、貴方を含め一ノ瀬ファミリーといえばとても有名ですよ?、ね~有名な落ちこぼれの死神さん?さて念のためスキル鑑定をしましょうか?ま、変わらないと思いますが。」


迅「っ、よろしくお願いします。」


スキル鑑定をした結果変わりはない。


男性職員「やはり変わりはありませんでしたね~、カオスヘヴンでしたっけ?呪い天国?ブフッ・・・混沌の聖域ですか?そんなの聞いた事もありませんよ、シングルでも使える人は多いいのに、こんな役立たずの呪いじゃ使えませんよね~。」


探索者「カオスヘヴンだ~なんだそれ~!はっはははははは呪い天国ってしかも混沌とか受ける。」


女探索者「明らかに使えないスキルじゃん、呪いもかけられないは、呪いじゃないね、そりゃあんたにとっての混沌だね~。」


探索者2「いやだれが上手いこと言えと・・・しっかしフッフッフッフッフッ、一ノ瀬の落ちこぼれ?嫌、無能か?こんなのが美月さんの弟?で、結月ちゃんの兄?~世の中どうなってるんだろうね~。」


と馬鹿にされ続け少しづつスキルが使えるようになっている。


3年がたったある日の出来事。


PTに誘われる、そして俺は本当の意味での永遠に失われた筈の片割れ、自身の半身とも言える比翼と邂逅を果たすことになる。

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俺にとってのカオス 保護猫さんと一緒 @razurokku

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