胡蝶蘭は止まらない。"The Unstoppable orchid"
むたさん
Day1
ピンポーンとチャイムが鳴った
「はーい!」
返事をして玄関を開ける
「どちら様です...か?」
玄関を開けると、肩まで伸びた綺麗な黒髪、見るものを吸い込むような黒色の目、170はありそうな高い背丈、キリッとした綺麗な顔立ちの女の人が立っていた
(綺麗な人、モデルさんかな?)
「こんにちは」
「あっ、えーとこんにちは」
つい見惚れてしまう
「隣の部屋に引っ越してきた『胡蝶菜乃花』(こちょうなのか)と申します、これからよろしくお願いします」
「これ、良かったら貰ってください」
「ありがとうございます!」
「私は『紬凛』(つむぎりん)といいます、こちらこそよろしくお願いします」
凛はなるべく好印象を持ってもらえるように笑顔を作る
「...隣の人が貴方みたいな人で良かったです」
「え?」
「それじゃあ部屋に戻りますね、さようなら」
「あっはいさよなら」
パタンと玄関を閉じる
凛はそのまま寝室へ駆け込みベッドへダイブして枕に顔を埋める
(あんな綺麗な人が隣人なんてめっちゃ嬉しい!仲良くなれないかな...)
にへらと笑って凛は隣人の顔、もとい菜乃花の顔を思い出す
(どっかで見た事あるような気がするんだよなぁ...)
凛が悩んでいる横でテレビはニュース番組を流している
ーーーーー
テレビ
「大人気アイドルグループ『ネメシス』のリーダー『比折菜乃花』(ひおりなのか)さんが失踪して今日で3日が過ぎました」
「警察は何らかの事件に巻き込まれた可能性を視野に入れて捜査を進めています」
ーーーーー
「......」
凛はテレビ画面を見て固まっていた
何故なら先程まで話していた人物がテレビに映っているからだ
「菜乃花さんってまさか...え?」
凛は状況をうまく飲み込めないのでとりあえず昼寝をする事にした
「......まぁ私は関係ないし、うん、見なかった事にしよう」
そう言って凛は昼寝を始めた
〜〜〜〜〜
凛が眠りについて1時間が経つと、何やら外が騒がしい
「なんだよぉ...人が気持ちよく寝てるっていうのに」
玄関の外が何やら騒がしく、凛は好奇心から覗いてみることにした
「そーっと、そーっと」
「ちらっ」
凛が玄関を少しだけ開けて外を見ようとしたら勢いよく玄関が開けられてカメラを持った集団に取り囲まれた
「貴方は比折菜乃花さんの隣人ですか!?」
「えぇ!?」
凛は先程までのニュースを思い返した
(もしやこれは...面倒なことになったのでは)
「なっ何でもないですよ?あはは、何のことかなぁ〜」
(めんどいけらしらばっくれよ)
などとシラを切ってもカメラを持った集団は凛を逃そうとはしない
「本当は全て知っているのでしょう?」
「貴方は比折菜乃花さんとどのような関係ですか?」
「だっ、だから何もないって言っているでしょう!?というか迷惑なんですよ部屋の前で!」
カメラを持った集団と凛が言い合いをしていると隣の部屋の玄関が開く
中から出てきたのは街ですれ違えば100%の人が振り向くであろう国宝の美人
胡蝶菜乃花だった
「比折さん!なぜこんな場所にいるのですか!?」
「アイドル活動はどうしたんですか!?」
「なぜ誰にも何も言わずに消えたんですか!?」
「やましいことがあるんですか!?」
カメラ集団の剣幕により菜乃花は少し狼狽える。がしかし、苛立ちの方が大きいのだろう
「何で私がここに居るってことを知ってるんですか?ここじゃ他の住人に迷惑だってことが分からないんですか?邪魔です、消えてください」
明らかに不機嫌とわかる声色で話すがカメラ集団は一歩も引かない
「質問に答えてください!」
「チッ」
菜乃花は舌打ちをしたと思ったら凛へと近づき腕を絡めてくる
「えっ!?ちょ!?菜乃花さん!?///」
「私もうアイドルはやらないの、これから暫くは恋人と静かに過ごそうと思って...それじゃあサヨナラ、‘マスゴミ’さん達」
菜乃花はそういうと凛の額へキスをして腕を引いて凛の部屋へと入っていく
カメラ集団達は何やらわちゃわちゃと何かを言っているが凛の耳には何も入っていなかった
〜〜〜〜〜
「本当に申し訳ございませんでしたぁぁぁ!!!!」
菜乃花は時代劇ドラマでも見れないような綺麗な土下座をして凛へ謝罪する
「あっ、別に良いですよ!顔を上げてください!」
「本当に申し訳ございません、ありがとうございます」
「あはは」
「ところで、その、菜乃花さんってやっぱり『比折菜乃花』さんなんですか?」
「...はい」
比折菜乃花は大人気アイドルグループ『ネメシス』のリーダーであり恋人にしたい芸能人は誰かという質問をすれば100人中95人が『比折菜乃花』と答えるほどの人気を博している
ちなみに凛はアイドルには興味がないのでさっき調べるまで比折菜乃花に対しての知識はなかった
「あの...どうしてこんなマンションにいるんですか?」
「実は、アイドルに疲れてしまって」
「アイドルをする事は楽しくて好きなんですけど、どうしてもアンチが沸きますし、私生活やプライベートはどうしてもメディアにバレてるし、ファンからの『比折菜乃花』を求められ過ぎて素の自分で居られなくなったりで辛くて、辞めちゃいました。それで気分転換にここへ引っ越しました」
「なるほど」
(アイドルも色々と複雑なんだな)
「...」
「ところで.....さっきの」
「私の恋人ってやつ...なんですか?」
凛は顔を赤くしながら質問をする
すると菜乃花も顔を赤くして、湯気でもでているかのようにしながら答える
「その、えっと...あの場を切り抜けるためについ嘘をついちゃって...」
「...それで額にキスを?」
「それは...何だか凛さんを見てたら体が勝手に...」
「...」
「...」
お互いの間に気まずい間が出来る
そして先に口を開いたのは菜乃花だった
「あの、凛さん」
「凛さんさえ良ければほとぼりが冷めるまで私の恋人になってくれませんか?」
「えぇ!?」
突然の提案に凛は驚く
「その、これでも私は有名人なので、メディアの前であんな事をしてしまった以上もう取り返しはつかないと思います」
「なので、その...ダメですか?」
「むしろ私なんかで良いんですか?」
「えと、凛さんならむしろ私からお願いしたいというか、何というか」
「...私は、恋愛対象が女性なんで良いんですけど菜乃花さんは良いんですか?」
「...はい///」
「それじゃあ、その、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします!」
菜乃花はそういい凛の手を掴む
「私恋愛経験ないんですけど大丈夫ですかね?」
「実は私もないんですよね」
「え!?意外!」
「恋する時間なんかありませんでしたからね」
2人が話していると5時を伝える放送がなる
「...すみません、長居してしまって。そろそろ帰りますね」
「外とか大丈夫ですか?まだメディアが居たりとか」
「もう大丈夫ですよ、色々ご迷惑かけました、それではさようなら」
「はい、さようなら」
パタンと扉がしまる
「私が菜乃花さんと恋人...へへへ」
凛のタイプど真ん中の菜乃花と期限付きではあるが形だけのお付き合いをすることになり気分は上々だ
「...まぁ形だけなんで何も起きないんだろうけど」
そう言い凛は晩御飯の支度を始めたのであった
ーーーー以外作者のコーナー。ーーーー
今回から制作する『胡蝶蘭は止まらない』は不定期に投稿をしていきますので完結まで多くの時間を費やすことになると思われます。万に一つの可能性として未完のまま終わる何てケースにもなりえるかもなのでご理解のほど宜しくお願いします。
実は私は現役高校生で部活動に命かけてる系なので今の春休みが明けた後は投稿頻度はさらに減っていくと思われます、本当にすいません。
投稿したらすぐわかるようにフォローをしていただからととても嬉しいです。
それではこれからよろしくお願いします。
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