第92話
そうやって、キッチンに並んでお鍋の中の野菜を見つめていると、普段は聞けないようなことも口に出せるような気分になってくる。
多分、お互いに作業をしていて面と向かって話す気恥ずかしさみたいなものがないからだ。
私はあくまで何気ない感じを装って、でも本心では少し緊張しながら口を開いた。
「ねえ、もしもの話だけど。ママは、すごく好きな人がどうしても手が届かない人だったらどうする?諦める?」
「ふふふ、珍しいわね。すみれが恋の相談?」
「別に相談とかじゃないってば。ちょっと聞いてみたかっただけ。」
ママがちらりとこちらに視線を流したのが分かって、私はますますお鍋から顔を上げられなくなった。
すぐにママはまたパンを切るために動かしていた手を再開して、いつもより少し落ち着いた口調で話し始めた。
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