第84話

「それを知ったときさ、俺は自分でも驚くほど冷めてたんだ。もちろんそれなりに傷ついたはずし、ふざけんなって思った。でも最後に残ったのは諦めとか、なんかどうでもいいやって気持ちだけで、恋愛なんて一時の気の迷いでしかないって思ったんだよね。俺には面倒くさいだけだし、向いてないんだよ、そういうの。」



ふっと片側の口角を上げて、自嘲的に笑った幸坂先生はまた私に向き直った。


私はただその一連の動きを見つめるだけで、何も言うことが出来なかった。


私にこんなに暖かい光を、優しさを与えてくれる人なのに、彼も過去の虚しさや自分の中の暗闇に囚われているんだって分かってしまったら、私はますます幸坂先生を諦めることなんて出来ない。

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