第82話
幸坂先生は、今まで見たこともないくらい驚いた顔をしていた。
目を大きく見開いて、私たちの間には冷たい風が一筋吹いた。
ああ、ダメだこんなの。全然ダメ。
幸坂先生は突然こんなことを言われて、迷惑なだけに決まっている。
ただの生徒に向けてくれる優しさを勘違いしたらダメだって、私が一方的に好きでいるだけにしないとって、そう何度も自分に言い聞かせた。
それなのに、手を付けられないほどに育ってしまった私の恋心は、私の意思を超えたところで走っている。
自分が口に出してしまった言葉が信じられなかったし、幸坂先生にこれから言われるであろうことを聞きたくもないと思った。
驚きなのか、焦りなのか、悲しみなのか自分でもよく分からないぐちゃぐちゃの気持ちの中で、幸坂先生の唇が動くのを見つめた。
こんなに近い距離にいられるのはもう最後かも、なんて思って、なるべく彼の気配の全部を感じ取ろうとした。
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