第67話
――「お前が明るくしてくれんのは、お前の周りの世界だけで十分だ。」
だから、これ以上こっちのフィールドに踏み込むなっていう意味だったのだろうか。
私みたいな、面倒な子供はいらないって、そう思われてしまっただろうか。
私がどんなに必死に手を伸ばしても触れられそうにない幸坂先生の腕を、本橋先生は実にあっさり取ってみせた。
大人同士だから許されるその距離感が、制服姿の今の私にはたまらなく眩しく思えて、息が苦しくなった。
やめて、そんなに簡単に触らせないでって思ってしまった自分が、すごく黒くて醜い感情に覆われているように感じる。
私にそんなことを思う資格はないし、誰とどんな風に接しようと幸坂先生の自由だ。
そんなことは、幸坂先生を好きになったその時から十分すぎるほどに分かっている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます