第48話

「でもかっきー、昨日図書室で可愛い子と勉強してたの私見ちゃったよ。あれ2年生の子だよね?」


「なに、もしかしてヤキモチ?すみれちゃん見てたなら、あの子から俺のこと奪ってくれてよかったのに。」


かっきーは下敷きで私を扇いでいた手を止めて、にやにやした笑顔でこちらを見つめてきた。


本当にそんなことになったら修羅場すぎる、と私はその場面を想像して怖くなったけれど、彼はそんな時でさえ全く動じないで、白い歯を覗かせて笑ってきそうだ。


「そんなことするわけないでしょ。かっきーと仲良いせいで、ただでさえかっきーの今までの彼女さんたちと気まずくなりがちなのに。」


「まあそれは、柿原に問題があるわよね。」


潤君の解説を聞いてあっという間にさっきの問題を片付けてしまったらしい奈々ちゃんが、ペンを持っていた手を止めて私に加勢してくれた。


そのことに嬉しくなった私は元気を取り戻して、机から体を起こした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る