1.始まりにはメロンパン

第2話

あ、飛行機雲だ。


真っ青な空に細く長い雲が一筋走って、その先を目で追うと空の彼方へとどんどん上昇していく飛行機があった。



地上で見るとおそらく何百トンもありそうな鉄の塊なのに、ひとたび空に昇るとあんなに悠々と重力に逆らってみせるのだから不思議だ。


黒板の前でフランス革命について熱心に語る先生をよそに、全く関係ない外の景色に意識を飛ばしてしまえるのは窓際の席の特権だ。




春休みが明けて高3になったはいいものの、受験生という自覚もないまま私の貴重な高校生活はこうしてぼんやりと消費されている。


将来とか、友達とか、恋愛とか。



考えようと思えば考えることはたくさんあるのだけど、とりあえず今はそのどれもから目を逸らしていたかった。

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