第3話

「ねえ、遼。ラベンダーって妖精のお花なんだって。」


「妖精のお花?」


「そう。ママが言ってたの。とってもいい香りだから、妖精が集まってくるんだって。」


「へえ、それ翠衣とおんなじだね。翠衣も、妖精だ。」



自分では気づいていなかったけれど、きっとこの頃から私はこの王子様に心を奪われていた。



「ええ。すいは、お姫様がいいなあ。」


「じゃあ、僕のお姫様になってよ。お花の妖精だけど、僕だけのお姫様。」




あの頃奪われた心は、今も私のもとへ戻ってこないままだ。

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