1.妖精だけど、お姫様

第2話

昔、私の家の庭にはラベンダーが咲いていた。

家事にも育児にも無頓着な母が、珍しく大切に育てていた。



初夏の訪れを告げるように、一斉に庭が紫に染まっていく様子を見ているのが、好きだった。

鮮やかなのにどこか優しいその紫色を一緒に眺める相手は、いつも決まって隣の家に住む小さな王子様だった。

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