第1章
第2話
7:58分発の各駅停車の電車がホームに入ってくる。
入学して3か月、少し学校に慣れた私がちょうどいいと毎朝乗っているのがこの時間の電車だ。
受験の日は間違えて急行に乗ってしまい、降りる予定の駅を電車がスゴいスピードで通り過ぎた時は同じ中学の子と、かなり焦ったのはまだ記憶に新しい。
この時間の電車もそうなのだが、この7両目というのも乗り換えの階段に近くてちょうどいい。
こうして、毎朝同じ時間の同じ車両に乗っているので毎朝のように見かける人も少なからずいる。
それは同じ学校の子だったり、沿線の駅にある違う学校の子、同じく会社に向かう社会人だったりと年齢もバラバラだ。
「(あ、あの人)」
ここ一ヶ月、この電車で見かける男の人。
制服を着ていないし、何より大人っぽい雰囲気に高校生ではないと思った。
推測するにきっと大学生なんだろうと思う。
そんな彼はこの車両の注目の的だ。
なぜなら、モデルのようなスタイルとその風貌。
周りで見て声をかけたそうにしている子はたくさんいるが、静かに本を読んでるその佇まいがそれを容易にさせてくれない雰囲気を醸し出している。
入学してすぐの頃、私はそんな彼と言葉を交わしたことがある。
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