いつかあなたに
やわらしろ
第1話
高校二年生の私―陽菜は昼休みに親友の杏奈に恋愛相談なるものをしていた。
「
「え!? 告白されたってこと?」
そう言って机に思いきり手をつき、杏奈は立ち上がった。一言目からものすごい食いつきだ。
「いや、直接言われたわけじゃなくて……」
「どういうこと?」
少し恥ずかしいけれど、詳しいことを説明することにした。
「実は、昨日――」
「なるほどね。つまり恋バナしてるところを盗み聞きした、と。」
一通り話すと杏奈は私の話を簡単にまとめた。
「わ、わざとじゃないよ。 それでその、どうすればいいかな?」
「どうすればってそんなの告白しちゃえばいいじゃない。大翔君のこと好きなんでしょ」
杏奈はさも当然のような顔をして言った。そんな風に見えているのだろうか。
「うーん。す、好きではあるのかな?」
「なんかはっきりしないわね。」
「そ、その……。」
これから言うことは絶対馬鹿にされると思う。だけど、一番相談したい部分なのではっきりと告げる
「こ、これが恋なのか分からなくて」
「……。はぁ~」
杏奈は呆れをたっぷり含んだ息を吐きだす。馬鹿にはされなかったけど、すごいため息をされてしまった。
「陽菜あなた……。めんどくさいわね」
「ひどいっ!!」
「本を読みすぎで拗らせてるのかしら。どうせ恋愛ものの小説と照らし合わせて考えてるんでしょ」
「うっ」
図星だった。実際に、昨日私は恋愛小説を読んでそれを参考にして色々考えた。でも、本を読んでばかりな私が自分の気持ちを確かめるのに本に頼るのは仕方ないはずだ。
結果は、まあ、うん。よくわからなかったけど。
そんな私を杏奈は見捨てなかった。
「まあいいわ。恋愛に正解なんてないしね。好きに悩めばいいわよ。相談ならいつでも乗ってあげるから」
「か、かっこいい!!」
「うるさいわねっ!!」
私の親友は本よりずっと頼もしいように思えた。
「それより、放課後どうせまた一緒に過ごすんでしょ? あなた大丈夫なの?」
あ……。
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