第2章 1000年後の魔族達

第5話 魔族と人族

あれから1000年の時が流れ零から始めた国も随分と様変わりしていた。


まず、国に名前が付いた!


国の名はセレスティア魔族国。国土としては全世界の3分の1を占めている大国家で、この世界の人族圏は3分の1、そして残りが未開の地となっているので実質世界の半分を占める計算となる。


次に人口?と種族が増えた!


最初期のメンバーは勿論の事、その下位種族にあたるハイエルフやハイドワーフ、レッサーヴァンパイア等やダークエルフに小人族。更には悪魔族や獣人族なども生み出し人口は一億に届こうとしていた。


更には異種族間の結婚等により新種族も誕生している。


そして最後に一番変わったのは…。人族と戦争中であると言う事である。













かれこれ100年位の事になるだろうか?


一方的な宣戦布告であった。


ほんの100年前までは交易やらでそれなりに仲良くしていたのだが誰に聞いたのか魔王たる私の心臓に無限の魔力が宿ると言うのを信じ手に入れようと戦争を仕掛けてきたのである。


まぁ、実際あると言うのは本当のようであるが…。


とりあえず現在は硬直状態を保ち国境近くにあるリスティア砦が最前戦となっている。


「魔王様。戦況の報告に参りました。」


薄紫色の長髪に真紅の目、ピンと尖った長い耳に浅黒い肌をしたエルフらしき14歳~15歳位の少女が執務室へと入って来た。


イービルエルフ…。エルフ族と悪魔族のハーフであるクレア=エーデルワイス ー レーナの参謀である。


「ありがとう。で、状況は?」


「はい…。アメリア様の活躍で人族 ー レティシア王国軍は一時撤退、こちらの被害は軽傷者10名と軽微です。」


クレアは書類の束をレーナに渡した。


「ご苦労様。クレア…。2~3日休暇をあげましょう。ゆっくり休んで下さいね。」


レーナはニッコリ微笑んだ。


「あ、ありがとうございます!」


クレアは嬉しそうに礼をすると足早に去って行った。
















「…。スーリ!」


レーナが書類を読みながら呼ぶと何処からか手の平サイズのスライムがポヨンポヨンと跳ねながら現れ、レーナの執務机の上にちょこんと乗った。


この小さなスライムはスーリのスキル『分裂』で生まれた分身体である。


「主様?何か御用ですか?」


「レティシア王国軍が一時的とはいえリスティア砦から撤退した。そちらの様子はどうかと思ってね…。」


レーナはスーリを優しく撫でた。


ひんやりプルプルしていてとても気持ちいい感触だ。


今現在スーリの本体はレティシア王国に潜入していて、時々こうして連絡をとっているのだ。


ちなみに仮に本体がやられたとしても一体でも分身体が残っていればそれが本体になるので多少の無理が出来て本人曰とても便利な能力らしい。


「特に動きはありませんが?軍師殿…。クレアさんは何と言っておられましたか?」


「書類によると多分何か裏があると…。」


レーナはスーリに書類を渡した。


スーリは器用に体を変形させて書類を丁寧に読んだ。


暫く考えた末、スーリは


「なるほど…。探りを入れますので数日お待ちください。」


とだけ答えたのであった。

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