第3話 思わぬ出会い

「よし、とりあえずこのメンバーで暫く国作りをしていくよ。フェリシアとマリンはまず畑を作ってね。スーリとアメリアと私で近くの森で果物とか採ってくるよ。」


「「「「はい!」」」」


こうしてレーナ達の最初の1日が始まった。


レーナはとりあえずスキルで生み出した育ちそうな種を3~4種類フェリシアに渡すとスーリとアメリア共に森へと向かった。
















「レーナ様、このキノコは食べられますよ。」


スーリは茶色の地味なキノコをレーナに見せた。


「え~っと…。うん!これはウマミダケだね。」


「レーナ様、アメリア、鹿を仕留めました!」


「うん!ありがとう。」


レーナ達は動物を狩ったり『解析鑑定』で食べられるキノコや木の実を確認しながらスキルで作っておいた籠へと入れていった。

暫くして結構な量を採集出来たので城に帰ろうとしていた所、レーナの眼に二つの人影のような物が少し先の木の下に倒れているのが映った。


レーナが何となく人らしき影の方へ向かうとそこにいたのは10~11歳位の男の子と女の子の双子なのかとてもよく似た顔立ちの緋色の眼にまるで月を溶かしたようなとても美しい銀髪をしていた。


二人はとても深い傷を負っていてその命は今にも消えそうであった。


「うぅ…。誰か助けて…。」


男の子と女の子は消え入りそうな声で言った。


正直この二人を助けても良いと思っている…。だがここまでの傷で助けるとなるとあのスキル・・・・・で眷族化するしか無い。しかしそれを受け入るかどうか…。それにこの二人を助けるのが自分のためになるか…。

だってこの二人の職種クラス勇者・・・聖女・・・俗に言う魔王、つまり私の敵になる者なのだ!どうしよう。


「助けても良いけど君達…。その為に人間捨てられる?」


レーナはとりあえずそう言った。


「「え?」」


「残念だけど君達を助けるには私の眷族になるか私の部下の眷族になるかの二択しかないの。どうする?お二人さん。」


レーナの問に二人は恐る恐る口を開いた。


「私…。人間じゃなくなっても良い。」


「ボクもそれで良い。」


「「助けて!」」


二人の声は揃った。


「いいわ。ならコレを飲みなさい。」


レーナはスキルで作ったコップに自らの血を注ぎ二人に渡した。


二人はコップを受け取ると躊躇うことなくそれを飲んだ。

すると目も眩むような光が二人を包み込み二人の体の作りがみるみる変わっていった。





光が収まると二人は二本の白い角が生え少し耳が尖った魔神であるレーナの特徴と似た姿に変わっていた。


「ほう…。」


レーナは二人を『解析鑑定』した。



○ 名前 : アイル=スタシア

○ 種族 : 魔人 ♂

○ クラス : 勇者

○ レベル : 5


○ HP : 120/120

○ MP : 330/330

○ 筋力 : 59

○ 防御 : 70

○ 魔防 : 66

○ 敏捷 : 67

○ 器用 : 78

○ 知力 : 81

○ 幸運 : 20

○ 加護 : 魔王の加護


○ スキル


勇者イサマシキモノ『ユニークスキル』


● 魔力貯蔵 『コモンスキル』


○ 名前 : ユリア=スタシア

○ 種族 : 魔人 ♀

○ クラス : 聖女

○ レベル : 5


○ HP : 110/110

○ MP : 506/506

○ 筋力 : 32

○ 防御 : 24

○ 魔防 : 88

○ 敏捷 : 78

○ 器用 : 90

○ 知力 : 91

○ 幸運 : 30

○ 加護 : 魔王の加護


○ スキル


聖女セイナルオトメ『ユニークスキル』


● 魔力貯蔵 『コモンスキル』



おや?私の作った子達よりステータスがメチャクチャ低いわね。


え~私のスキルによると眷族については現在のステータスをそのまま受け継ぐからこうなったらしい。でも次にレベルが上がると一気にステータスが上がるとの事だ。


急激な体の変化の為か、疲労のためかアイルとユリアはそのまま眠ってしまったのであった。


「フフフ…。スーリ、アメリアこの子達を連れて帰るとしましょう。」


レーナは柔和な笑みを浮かべていた。

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