鼻の記憶と再生

匂いって、記憶とリンクしますよね。

いろんな匂いがあるけれど、僕が特に好きなのは「夜の匂い」です。


……伝わりますかね?


冷えたアスファルトやコンクリート、夜の土や草から漂う香りに、わずかな湿気が混ざった、あの“しん”とした匂いです。


あ、あれ? わからない?(汗)


それじゃあ、じゃあ……うーん。

海の匂いなんてどうです?

マニアックに言えば、硫化ジメチル(DMS)の匂いですね。

……はい、理系バカの発想です(笑)


冗談はさておき――

匂いの記憶は、たぶん誰の中にもあると思うんです。

ただ、僕が知りたいのは、その記憶を“再生”できるかどうか。

いつものようにChatGPTさんに質問してみました。


僕「匂いの記憶は誰にでもあると思うんですが、それはあってますか?」

ChatGPT「はい、正解です。匂いは、脳の中でも“感情”や“記憶”を司る部位と、ものすごく近い場所で処理されているからです」


【例】「ある香りを嗅いだ瞬間に、昔の記憶が一気によみがえる」という、感情を伴った記憶が発動する。


僕「よし! 今度こそ、僕だけじゃなかった!

 そんじゃあ、イメージの中で、磯の香り(硫化ジメチル)を再生!」

ChatGPT「残念ながら……それができる人は、ごく少数です」

僕「またかーい! すみません。解説をお願いします!」

ChatGPT「かしこまりました。では、簡単に説明しますね」


 * * *


人間って、五感の中でも、どうしても視覚や聴覚に頼るところが大きいんですよね。

だから「映像を思い浮かべる」とか、「音を思い出す」ことって、日常でもよくあると思います。


ところが――

嗅覚(匂い)だけは、“思い出す”ことが極端に難しいのです。


理由は大きく分けて、以下の3つ。


【1】嗅覚だけ、脳の“記憶方法”が特殊。

 嗅覚は、「海馬(記憶)」や「扁桃体(感情)」と直結しています。

つまり、匂いの記憶は「感情とセットで保存」されてるんですね。

→ なので、思い出すには「匂いそのもの」ではなく、感情を介して引き出す必要がある。つまり、「再生」より「再現」が必要になるという、ややこしい構造。


【2】嗅覚の「イメージ化能力」が低い。

 たとえば、「リンゴ」と言われたら、赤くて丸い実が頭に浮かびますよね?

「ピアノ」と言われれば、音が思い浮かぶ人も多い。

でも、「バラの匂い」と言われて、その香りの粒子感まで再現できる人って、ほとんどいません。

→ これは、脳のなかで嗅覚だけ“視覚的イメージ”に変換しにくいからです。


【3】言語化が難しい。

匂いって、言葉にしにくいですよね?

「甘い香り」「ツンとする匂い」……それくらいしか言えない。

だから、記憶の中で再生する際の“ラベル”が曖昧になりがち。

→ ラベルが曖昧だと、脳は「正確に取り出す」ことができません。


ChatGPT「つまりですね――」


・匂いの記憶は誰にでもあるけど

・それを意識的に“再生”できる人はごく少数なんです。


僕「そうか……匂いって、“思い出す”んじゃなくて、“再び出会う”ものなのかも」

ChatGPT「詩的ですね。完全に同意です」


 * * *


ちなみに「リンゴ」って言われたときに、赤くて丸い実が浮かぶのは当然なのですが、僕の舌は味を再生しているし、鼻は匂いを再生しているんですよね。


ただ、ChatGPTさんが言うように、匂いが再生されているにも関わらず、それを言葉にしろと言われたら「いや、リンゴの匂いですが?」としか言えないのがもどかしいです。


これが言葉や文字の限界なんでしょうね。

でも、ちゃんとリンゴの匂いが再生されてるんだよなあ……この瞬間も。

これを他人と共有できないのが、もどかしいですね。

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