舌の記憶と再生

美味しいですよね、カレー。

カレーって、記憶からの味や香りの再生って誰でもできるんじゃないですか?

できますよね?

いや、ほら……スパイスの効いた香ばしい香りとか、翌日のカレーのねっとりとした食感とか……


――あれ?


できない? でも、意味は通じますよね?

心配になってきたな……


僕「誰でもできますよね? 特にカレーとか楽勝な気がします」

ChatGPT「実は……ある程度は、多くの人に可能です。特に馴染み深い味の場合」

僕「よかった! 僕だけじゃなかった!」

ChatGPT「ただし、細かく再生できる人は“かなり少数派”です」


ふむ……細かく?


ブリのお刺身が好きなんですよね。

噛んだ時の程よい弾力と、少しサクッとした感触。

奥歯で噛んだ時に、染み出す油の甘さ……

醤油の風味と、口の中で混じり合って、舌全体に甘さと旨味が広がる。

その後に、わさびのツンとした感じが、鼻をついて心地よい。


ちなみに、文章にしていますが、この間も味が再生されています。

ただし、味が再生されても、お腹が膨れないので、後でスーパーに行ってお刺身を買ってこようと思います。


あ、それと味の再生はあるんですが、実際に口に入れた時の2割か3割ぐらいの味しかしないですね。薄味に感じる……っていうのとも、ちょっと違うんですが。


分かりやすく言うなら、「本物の半分くらいのリアルさで再生される味」って感じでしょうか。


他には唇の感覚――たとえば、スプーンが触れたときの冷たさ、汁物が当たる温度、焼きたてパンの外気とのコントラスト、あるいは脂のぬるっとした感じや、わさびの揮発感が鼻に抜ける前の“口唇の一瞬の刺激”……ここも記憶から再生できます。


 * * *


カレーは楽勝なんですが、他の料理も……だいたい、再生できます。

ただし、食べたことがある料理に限定されますね。


例えば「ドラゴンの竜田揚げ」ってのを想像してみたんですが……すみません。

さっぱり分からないです。勝手に「美味しい鶏の竜田揚げ」が再生されました。


 * * *


余談です。

この能力のせいなのか、頭を「解析モード」に切り替えると、今、口に入れている料理の材料をある程度ですが、当てることもできます。


あ、このカレーって、少しシナモンが入っているな……

このスイーツの甘さは、蜂蜜だな……

カラメル? いや、違うな……ほんの少しメイプルシロップが混ざってるかも。


とか、解析できます。


正確に言えば、「感じている味を分解して、記憶している味と照らし合わせる」みたいな作業ですね。

まあ、疲れるので、普段はあまりやりません。


ただ、気に入った料理に出会って「これ、大した手間なく作れるかも」と思ったときだけ、そっと使います。

実は、友だちが「これ、美味しい!」と言ってくれる料理があって、それも味覚解析で、レトルトの“アレとコレ”を組み合わせで再現してるんです。

友だちがありがたがってくれているので、そのレシピは僕だけの秘密ですけどね。

よもや、あれのベースがレトルトだったとは知るまい(笑)


それと、これを書いていて思い出したのですが、うちの母も、レストランで食べた料理を再現していたので……遺伝でしょう。


でも、ご飯は、何も考えずに食べたほうが美味しいです。

僕はチーズケーキとカフェオレを、無心で口に放り込んでいる時が幸せですね。

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