第25話
「キラーズライフ」25
リア「ごめんね…刃月…」
リア「私のために…死んでちょうだい…?」
そう言うとリアはどこからかサイス(大鎌)を取り出して…
ダッダッダッダッ!
こっちに全力で向かってきた…!
刃月「ッ…!危ねぇ…ッ!」
俺はその攻撃を危機一髪で回避した…!
刃月「り、リア…!」
紫の涙「こら…ダメでしょ…?抵抗すればするほど苦しむだけだよ…?」
そう言う彼女の目に…光は灯っていなかった…
刃月「リア…」
仕方ない…向こうは伝説の殺し屋と呼ばれた化け物…攻撃を全て避け切ることは不可能…ならば…
俺はそこに落ちていた太い木の枝を拾いあげる…
さぁ…仕事の時間だ…
黒い沈黙「・・・」
紫の涙「・・・」
両者…睨み合う…
そして…
動き出す…!
紫の涙「・・・」
黒い沈黙「ふっ…!ふっ…!!」
俺はその攻撃をなんとか防ぐことに成功した…!
紫の涙「・・・」
彼女の目は虚ろ(うつろ)な状態でその猛攻(もうこう)を繰り出していた…
黒い沈黙「マジでばけもんじゃねぇか…」
彼女の繰り出す攻撃はとにかく素早い…!
俺の扱っている武器よりも軽いとはいえ…どうやったらこんな速度で振り回せるんだ…!?
そして一撃一撃がズッシリと身体全体に響く…!
こんなのが1発でも当たったら致命傷は避けられない…!
あぁ…クソっ…!どうしてこんなことに…!
俺はこんなことは求めていない…!
黒い沈黙「リア…!頼む…!目を覚ましてくれ…!」
黒い沈黙「俺はお前と争い合いたくない…!」
紫の涙「・・・」
黒い沈黙「くっ…ダメか…!」
もうリアは止まることを知らない…!
やるしかないんだ…!いま…!ここで…!
黒い沈黙「うぉぉぉぉ!!」
バキッ…!
黒い沈黙「しまった…!枝が…ッ!」
ブン!
黒い沈黙「ふっ…!!」
俺はその攻撃を回避した…!
だが…!
黒い沈黙「まずっ…!!」
俺はバランスを崩してしまった…!
紫の涙「・・・」
黒い沈黙「・・・」
黒い沈黙「おわった…」
俺はリアに押し倒され…跨られる(またがられる)状態になってしまった…
そして…リアはサイスを少しずつ上に掲げていく…
あぁ…まったく…最愛の人に殺されるなんて…皮肉なもんだぜ…
俺は静かに…その目を閉じる…
そして…
そして…
リアは掲げたサイスを…
思いっきり…
・・・
ポチャン…
刃月「ん…?」
そのとき…何かが俺の頬に落ちてきた…
目を開くと…そこには…
大粒の涙を流している…リアがいた…
リア「やだ…いやだ…殺したくないよぉ…泣」
刃月「リア…」
俺はそんな彼女を強く抱きしめた…
刃月「ごめん…ごめんな…リア…」
そうだ…
彼女が辛くないわけがない…
俺が自分の両親の敵(かたき)であったとしても…俺の前で微笑んでくれた彼女が…
連れ去られたとしても…俺の家に戻って来てくれた彼女が…!
辛くないわけがないんだ…!
俺は彼女を…強く…強く抱きしめる…!
たとえ…彼女がどれだけ辛かろうとも…!
彼女がどれだけ…!俺を憎んでいるとしても…!
・・・
〜夜明け〜
山奥から見下ろす(みおろす)街並みに…静かに朝焼けが訪れる…
そんなとき…リアが口を開いた…
リア「ねぇ刃月…わたし…やっぱり刃月と一緒がいい…」
刃月「俺もだ…俺もお前と一緒に…歩んで行きたい…」
リア「じゃあ…刃月…」
リアは一拍を置いて…告げる…
リア「私の人生をめちゃくちゃにした責任…取ってちょうだいね…?」
そう言って頬を赤く染める彼女は…とても伝説の殺し屋とは思えない…可愛らしい笑顔を見せてくれるのだった…
〜Fin〜
「キラーズライフ」 @MKtaikun
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