宇宙第三期126年9月24日AM6:07 ベルロイ・マッコリ―
「はぁ、飯マズ...」
俺は船内第二食堂で栄養たっぷりの時短飯をいただいていた。
「だから時間かかっても地球料理の方が良いって言ったのに」
俺の目の前の親友である、ゲリー・ナカムラがそう言いながらフライドチキンという贅沢料理を貪っている。
「でも...腹減ってたんだよ」
温めるだけで食えるチューブ飯を吸いながら後悔していた。
"あの件"の後、外部にメッセージを幾つか送り、色々とタスクを片付けていたら腹が減ってしょうがなかったのだ。
「たった15分の差だぜ?現に俺はその15分の差で黄金の翼を食ってるんだからな」
ゲリーはドヤ顔で食いかけのフライドチキンを見せつけてきた。
「あのなぁ...それ以上俺を煽ろうってんならその黄金の翼とやらを奪ってやるからな」
「おぉ~怖い」
するとその時、ゲリーのアームウォッチからピコンッという音がする。
アームウォッチとは、腕に装着するデバイスで、様々な機能が備わっている優れものだ。
色々な機能が使えるため、機能の中の一つである会話機能で仲の良い乗組員たちのグループが出来上がってるみたいだ。
「ん?あっと...緊急の仕事だ。クッソ、あぁ~、食いかけでも良いならこれやるよ」
「悪いが関節キスはごめんだ。というか、緊急の仕事って?」
「別にお前は気にしなくていことだ。後、俺と関節キスしたら幸せのあまりにきぜつしちまうのはごめんだっていうことでいいんだよな」
「今度そんなこと言ったら喉搔っ切るぞ」
「うわー、さつじんきだー」
ゲリーは笑いながら席を立って行った。
システムエンジニアであるゲリーへ向けた緊急の仕事、気になるな。
気づけば食堂の人間の何人かが席から立ち上がっていた。
おそらく全員システム関連の人間だろう。
まぁ、俺には関係ないことか...
俺は素早くチューブ飯を吸込み、近くの自動販売機で《炭酸飲料》トーグを買って舌の泥みたいな味を洗い落とす。
とりあえず自由時間を謳歌しよう。
自分のポッドに入って横になる。
その後、ポッドの中でヘッドギアを装着する。
「今日は...おぉ~、第二話からだな」
船に乗る前に予めダウンロードしていた大量のドラマの内の一つを昨日の続きから観始める。
「楽しみだなぁ、前回ビルが茸に寄生されて死んじまったんだよな」
俺は観始め-
ドンッドンッ
ポッドが誰かに叩かれている。
「ん?誰だ」
俺はヘッドギアを外す。
するとポッドの耐久ガラス越しには、副船長のモリーが立っていた。
ポッドを開け外に出る。
「副船長、今日もその顎鬚キマッてますね。ところで、2時間前に自分の業務は終わらせたはずなんですけど、なんのようですか?」
モリーが深刻な面持ちで俺に話しかけてくる。
「一部の乗組員しか知らない"あの件"が乗組員たちに漏れ始めている」
「えぇっ?」
「どうして漏れたかを調べたいから、一旦第三会議室に集合だ」
モリーはそう言うと、別の乗組員にも伝えに行くと言ってこの場を離れていった。
「?」
どうしてアームウォッチで伝えなかったんだ?
宇宙貨物船ブラックバレッド号 コヒゲ @kohige
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