第41話 レイリスが…~アドレア視点~
「レイリス、しっかりしてくれ。どうしてこんなに傷だらけなのだい?もしかして、ジョブレスにやられたのかい?なんて事だ。すぐに治療を。それよりも、魔術師に診せないと。リングは…あれ?リングがない」
「坊ちゃま、リングの残骸がこちらに落ちております。きっとレイリス嬢は自らの力で、リングを壊したのでしょう。恐ろしいお力を持ったお方です」
「リングを壊しただと?レイリス、君っては」
スヤスヤと眠るレイリスのおでこにそっと口づけをした。どうやら顔を殴られた様だ。可哀そうに、口から血が出ている。それに体中ボロボロだ。一体どんな酷い仕打ちを受けていたのだろう。
おのれジョブレス!絶対に許さない!
レイリスを抱きかかえ、そのまま立ち上がった。そしてあの男の元へと向かう。
「ジョブレス、よくも僕の可愛いレイリスに、大けがを負わせてくれたね。ただで済むとは思っていないよね」
既にたくさんの貴族たちに囲まれていたジョブレスの元に向かった。こいつもどうやら殴られた様で、顔から血が出ている。それになんだか水たまりにいるし、臭うな。何だこの臭いは…
「アドレア、その女、僕ちゃんの顔を殴ったのだよ。絶対に許さない!一番辛い殺し方で、処刑にしてやる!」
「絶対に許さないのはこちらのセリフだ!貴様、よくも僕の可愛いレイリスを。もちろん、このまま王族として生きていけるなんて思っていないよね?それよりもどうして水たまりの上にいるのだい?もしかして、失禁したのかい?16歳になって失禁だなんて、恥ずかしい男だな」
「失禁だって…」
「なんだか臭うと思ったが、まさか失禁したとは…」
僕の言葉を聞いた貴族たちの顔が、一気に引きつる。
「うるさい!全部この女が悪いんだ!」
バタバタ足を動かし、怒っている。本当に恥知らずな奴だ。こんなアホに構っているほど、僕は暇ではない。
「このアホを地下牢に閉じ込めておいてくれ。それから、地下牢に閉じ込められている令嬢たちは…」
「令嬢たちなら今、グレッサム公爵殿とゴーレス殿が解放に向かっております。陛下の方も他の貴族が捕らえに行っている為、間もなく皆捕らえられるでしょう」
「わかった、ありがとう。後は頼んでいいかな?レイリスが心配だから、まずは治療をいないといけないし」
「ええ、ここにはたくさんの貴族がいらっしゃいますし、旦那様もいらっしゃいます。どうか坊ちゃまは、レイリス嬢の治療に専念してください」
「ありがとう、それじゃあ、後は頼んだよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。