第14話

その時、



ピンポーン…



玄関のベルが鳴った。





鳴り続ける携帯の音から逃れたくて、



ベッドの上に携帯を置いて、



あたしは急いでインターフォンの受話器をとった。





「どちらさまですか?」



「……伊織?」



受話器の向こうから、



一番聞きたくなかった、



愛しい声。





「雅弘…」



「なんで、電話、でないの?」



何も言えなくて、拳をぎゅっと握りしめた。



「家、入れて?」



泣きそうになるのをぐっと堪えて、



しばらくしてから、



「今、行く」



と答えた。

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