その日、私達は一緒に帰った。

紫織はポツリポツリと、今まで北海道に住んでいた事や、自分の家族の事を話してくれた。

彼女のお父さんとお母さんが別居する事になり、お母さんの実家のある岐阜県のこの町にやって来た事、２つ年下の妹はお父さんと一緒に北海道にいる事、窓から一面のラベンダー畑が見える病院で産まれたから『紫織』と名付けられた事・・・

ラベンダーという花の名前を聞いて、私は紫織にこう言った。

「私の親戚の叔父さんがね、喫茶店やってるの。

　そこは夏になると庭一面にラベンダーが咲いて、すごく綺麗なの。

　夏休み中に、良かったら行ってみない？」

「本当？嬉しいなぁ」

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