第28話

「いえ、そのまさかです」

ミリアは真っ直ぐに愛丸を見詰めて言った。

綺麗過ぎる顔が却って無気味さを感じさせる。

「そんな……いっ、嫌だッ!! 俺、未だ死にたくないっ!」

愛丸は咄嗟に立ち上がった。

「無駄です、私がテレポートする事はご存じでしょう?」

静かに立ち上がったミリアの声が冷淡に響いた。

そうだ、たとえ何処へ逃げてもミリアが先回りすることは目に見えている。愛丸は裏山でミリアがテレポートしたのを実際に見ているのだから、逃げられる訳がない。

(どうすれば良いんだ……)

愛丸は拳を握りしめた。

自分が死ねば清一郎を独りぼっちにする事になる。

(そんなこと死んだって出来るもんか……)

「こうなったら、とことん抵抗してやるッ!!」

(そしたら……俺が死んでも許してくれるよね……)

愛丸は身構えた。

「落着いて下さい。愛丸、どうして死ぬなんて考えるのですか?」

「どうしてって、血を吸われたら死ぬに決ってるだろっ!」

「そんなことはありません。言ったでしょう……?私は共生型だと。現に生まれてからずっとマスターと一緒だったのですよ」

ミリアはそう言って微笑んだ。

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