第6話
「この玉子焼おいしっ!健介のお母さん料理上手なんだね。」
「そうかなァ、結構大ざっぱだったりするんですけどね…」
健介はそう答えたが、まんざらでもないようで照れくさそうに笑っていた。
そんな他愛の無い話をしながら弁当を食べ終えて健介が弁当箱をしまっていると、明陽が急に前を見据えたまま寄掛かる様に健介の耳元に頬を寄せて
「ご馳走さま。明日も此処においで、一緒にお昼しよう、約束だよ。」
と言った。
健介は「あ、はい」と返事をして明陽の視線の先へ眼をやると、あの九条聖が何か言いながらこっちへやって来るのが見えた。
明陽は九条が辿り着く前に立ち上がって九条を迎えたので健介もそれに習った。
「此処に居たのか、探したんだぞ。」
九条が不機嫌そうに言った。
「ごめん、なんか此処気持ち良くて…つい寝入っちゃって…」
明陽はと言えば九条の機嫌を別段気にとめる様子も無く、軽い口調で返した。
「こいつは?」
九条が鋭い目付で健介を睨んで明陽に尋ねた。
「ああ、一年の小日向君だよ」
明陽がそう言ったので、健介は随分失礼な人だなと思いながらも一応軽く会釈をした。
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