第2話

 この時、健介は何故か明陽が倒れていると思い込んでしまっていた。

はだけた制服も乱れた髪の毛も、何処をどう見ても倒れているとしか思え無い様な有り様だったからだ。

「まさか…死んでるんじゃ…」

健介は慌てて明陽の脇へ回り込んで、先ず、明陽の胸に耳を当てて心臓が動いているかどうか確かめた。

「良かった、動いてる…」

そう呟いた健介は次に息を為ているか確認しようと顔を上げた時、明陽と目が合った…

「うわぁッ!!」

途端に健介は驚いて後ろに手を着いてはいずった。

「何…?為てるの?」

明陽がのほほんとした様子で健介に尋ねた

「何って…死んでるんじゃないかと思って…」健介はおずおずと答えた。

「ふふっ、昼寝してただけだよ、どうして死んでるなんて思ったの?変な事考えるんだね。」

柔らかな笑顔で明陽がそう言ったので、健介は自分の言った事が急に恥ずかしくなって俯いてしまった。

「君、一年の小日向健介君だよね?」

「え…あ、はい。僕の事ご存知なんですか?」

健介は改めて明陽の顔を見て尋ねた。

「有名だよ、やんちゃな一年生が居るってね。」

「やんちゃって…」

健介は、やんちゃと言うより浮いていると言った方が正しいのではないか…と思って苦笑した。

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