第16話

薄暗い個室。

部屋の中央には黒塗りのソファが大理石テーブルを挟んで2つ。

片方のソファにはあたし、もう片方にはツーサイドアップと黒髪短髪。

そしてその奥に位置する黒いデスクとロココ調のアームチェア。



勿論、そこに君臨するのは、



「じゃあ、その契約書にサインしてね。」



―――――――冷たい瞳を持った彼。



理人さんがそう言うと黒髪短髪が1枚の紙とスーツの内ポケットからペンを取り出し、テーブルに置いた。


隣に座っているツーサイドアップは、よほどあたしのことが気に食わないのか腕を組んだままそっぽを向いている。

あたしの視線に気づいたのか時折、黒髪短髪が脇腹を肘で小突いていたけど歯牙にもかけない様子だった。

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