三匹のねこちゃん

堀川士朗

第一話


 「三匹のねこちゃん」

     (第一話 イッコ)



         堀川士朗



登場にゃん物


イッコ

優しいねこ。


ニコ

かわいいねこ。


サンコ

元気なねこ。



登場人物


変態さん

ミニスカートを履いて街をうろついているおじさん。


篠山くん

ニコが好きな男の子。


魔法使いのおじさん

三匹のねこたちに魔法をかけた人。



はなはなまちのねこねこはうすでは三匹のねこちゃんが暮らしていました。

三匹の女の子のねこちゃんたちはとても仲良しでした。


冬。

三匹は四畳半のねこねこはうすの部屋のこたつで丸くなっています。

ねこねこはうすは三匹がお金を出し合って買いました。

雨が降っています。


「あれよあれよという間に降ってきたね」

「うん」

「何も用事がなくてうちにいる時の雨音は最高だよね、ニコ。今日みたいな日」

「それ分かる!ザーザーぶりだとなお嬉しいよね、イッコ」

「あたしはお散歩に行きたい」

「雪にならないかな」

「ならないよ。あたたかいもの」

「あたしはお散歩に行きたい」

「サンコはお散歩好きね」

「うん。いつまでもこたつの中でゴロゴロしてるとあっという間に春になっちゃうよ」

「春になったら原宿行って遊ぼう!」

「良いね。あたし原宿でウィッグ買おうかな。キューティーなブロンドヘアーのやつ」

「おー」

「ニコはそういうの似合いそうだね」

「ありがとうイッコ。イッコは優しいね」

「へへへ」


上の会話は普通の人から見ると、単ににゃあにゃあ鳴いているように聞こえます。

でも……。

三匹は魔法の力で人間に変身する事が出来るのです!



別の日。

晴れています。

イッコは人間の女の子の姿に変身して街に出かけました。

その頃、ひとりの変態さんが街でミニスカート姿になっていました。


「ぐへへ~。ぐへへ~。おれを見ろ~。変態だぞ~」


正義感の強いイッコ(女の子の姿)が、それを見てこう言いました。


「あ!ミニスカート!」

「ぐへへ~。おじょうちゃ~ん。変態だぞ~」

「やめなさい!ミニスカートは女の子のものよ」

「う、うう……」

「変態はあたし嫌いよ」

「う、うん。もうやめるよ。替えのズボンは用意してあるんだ」

「ほんとに?あたしがいなくなったらまたミニスカート履くというのはなしよ」

「うん。大丈夫。そもそも変態である事が急にバカらしくなった」

「良かった。ホッ」

「じゃあね。バイバイ」

「もうやんないようにしてね」

「分かった。さぁならー」


変態さんはいなくなりました。

ちなみに、この時の変態さんが後のイカゾルゲーだったのです。

(「悪のアジトの片隅で」に出てくる怪人イカゾルゲー)


イッコは、今日も良い事をしたので気分が良くなりました。

これから買い物に行きます。

ニコとサンコが好きな、ねこ用ビスケットを買う予定です。



           つづく


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