その女の子を調査せよ!
俺は早速手がかりとして女の子の後ろから女の子の家を突き止めようと追った。
マリアは俺に何かあったら警察を呼んでもらえるようにそのまま待機してもらった。
これはもしヤクザと戦闘になるようなことがあれば、銃を出してくる可能性が少なからずあるからだ。
俺たちが異世界での生活で得た戦闘スキルや魔法を使い、戦闘面で優位に立ち日本刀などの刃物ならば魔法で障壁を張ったり身体強化で真っ二つにされないようにするなど出来る。
だが異世界でもなかった銃という武器、もちろん日本で生活してきても見ていない。
脅威度が分からないものだから2人で行くのは助けを呼べなくなる可能性があるというのが理由だ。
カチコミに行く訳ではないので戦闘はないと思うし、ここは現代日本なのでどんなに相手が悪い奴だとしても暴力が制限されているのでよほどの必要がなければ戦わず、そのまま情報を警察に届ける予定だ。
暴力などを振るってしまえば俺たちが日本に戻って来た時の銃刀法違反の二の舞いだ。そしてそうなればその時は暴力を振るっている以上おとがめ無しとはならないだろう。
俺は気づかれないように女の子の後ろについて行く。
女の子が角を曲がったり、するたびにそこの角に留まって距離を取りながら気づかれないように追う。
そしてついにその女の子がマンションへ入っていった。ここが住んでいるマンションなのだろう。
やがて女の子は扉を押してマンションの敷地に入るとマンションの階段を上っていった。
(ここか……)
その時だった。
「そこの君!少しよろしいでありますか!」
背筋に氷を流し込まれたような気分で、俺は声のする方を振り返る。
そこにいたのは最近の迷惑配信者が家に来た時の全部が解決してから到着した警官の児玉という男だった。
「おっと、君は先日会ったでありますな。いやいやこれは関係ないでありますな。ゴッホン、本官の目をごまかせると思ったでありますか。先ほどから小さな女の子をコソコソと尾行していたではありませんか。これは、れっきとした」
「ち、違います!違いますって!」
慌てて両手を上げる。
「俺は、あの子が何か酷い目にあっているんじゃないかと思って……」
俺がそれから要点をまとめて説明しながら理解を求めた。
児玉巡査は、俺の言葉を聞きながらゆっくりと顎に手を当てる。
「ふむ本官の早とちりでありましたかすまないであります。でも一般人が勝手にそういうことをするのは良くないであります。それにそんなことで捜査は出来ないでありますよ、虐待されている様子がなくどうやって捜査を進めるでありますか?」
児玉巡査に叱られてしまったが俺はここで引き下がってはなんだかイヤな予感がする俺は言い返そうとする。
「ちょ、ちょっと待つであります。別に本官自体は捜査しないとはいってないであります」
「それは……」
「本官が勝手に捜査するでありますよ。本官もその話を聞いたら少し気になるでありますし」
協力してくれるのは嬉しいがそれはどうなんだろうかと俺は思うが口には出さない。
児玉はどこからともなくタブレット端末を取り出し数回タップする。
「む?このマンション、表向きには夫婦と数人の男が暮らしていると登録されているようでありますが……、子どもの記録は一切ないであります」
「えっ、どういうことですか?」
児玉の目が鋭く光る。
「これは胡散臭いであります。何か事情があってのことかも知れないでありますが先ほどの情報から考えると表向きに偽装し、子どもの存在を隠すというのは何かしら後ろ暗いことがある可能性が浮上するでありますな」
「なら、早く行かないと」
「もちろんでありますと言いたいところでありますが可能性ということを忘れてはいけないであります。この女の子自身はどう思っているのかはどうなんでありますな」
俺は必死になっていたが児玉巡査に女の子の気持ちを考えていなかったことを気付かされてハッとした。
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