私の感情がぐちゃぐちゃんぬ

この物語は、ぬいぐるみの姿を借りた感情の旅です。
最初は「可愛い冒険ファンタジーかな?」なんて油断していたら、作者の術中にまんまとはまり、気づけば最後のページまで引き込まれていました。そのあとに訪れる余韻の深さがまた素晴らしい。

旅の途中で出会うぬいぐるみたち。彼らの行動の一つひとつが静かに、でも確実に胸を突いてきます。なのに、語尾は「んぬ」。
なんでそんな語尾がここまで愛おしいの?と、感情が迷子になるほどよくできたキャラクターたち。

ラストはもう、反則です。もちろん、良い意味で。

これはただの冒険ではありません。
喪失を抱えた少年が、ぬいぐるみたちの深い愛に支えられて再び歩き出す物語です。

ページを閉じても、この世界観が心から離れません。
優しくて切なくて、温かく完成された作品でした。

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