大人になったこと。
パ・ラー・アブラハティ
大人になんて
当たり前だけど人は嫌でも成長していく。身長が伸びて、顔つきが変わって、体つきも変わって、やがてひとりに。
これを成長といって、成長しきった人を大人と呼ぶ。
でも、私は子供のままでいたいし、大人になんかなりたくなかった。現実がそういかないことは知っているけど、なりたくないもんはなりたくない。
無駄な責任を持って、世界に縛られて、自由を奪われる。羽をもぎ取られた鳥が空を自由に謳歌することが出来るのかって話だ。
まあ、こんなことをグチグチと頭の中で言っているけど、結論を言うと私は大人になってしまった。
嫌だったけど、時間は過ぎるし体は成長した。頭も価値観も全て変わった。
例えば、お金が出来たからお菓子を三つ買ってその日に三つ全部食べちゃうとか。子供の時は、お母さんに一つまでって言われてたからかなりに大人になった実感が湧いている。
でも、どこか寂しさも感じている。一つまでって言われて、どれにしようかなって悩んでいたワクワクの時間が消えてしまった。今は死んだ顔で、死んだ魚の目をして、適当にお酒のおつまみになるやつを選んでいる。あ、これも大人になった証拠だ。
お酒を飲んで、おつまみを食べて、ベッドに横になって。明日が来ないでと願いながら寝る。
子供の頃とは大違いだ。子供の頃は、学校から帰ってきてランドセルを投げて、お母さんに怒られながらもそのまま外へ飛び出して。
公園で待っている友達と合流して、五時のチャイムが鳴るまで遊んで家に帰って。
「また学校でね! また明日!」
「うん、また明日ね!」
こんな日々が本当に楽しかった。
なのに今は「じゃあね、またいつかで」となっている。そう、いつも会えない。約束がなきゃ私たちは会えなくなってしまった。
学校という場が消えたからいつも会える訳では無いし、仕事もある。
あぁ、大人になんかなりたくなかった。
大人になったこと。 パ・ラー・アブラハティ @ra-yu482
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