奇怪なものたち

@Gecko_man

第1話 犬

飼っている犬や猫が何もないところに威嚇していて、そこには人には見えない「何か」がいるのだ……なんてありふれた話があるけどさ、俺の犬もそうなんだよ…

マメタって名前の柴犬で、名前に違わずちっこくて人懐っこいかわいいやつ。でも最近夜中にめちゃくちゃ吠えるようになってさ。家の隅のクローゼットとか食器棚とか、とにかく誰もいないところに向かって吠えまくる。そりゃあもうギャンギャンと、気でも狂ったみてーに。しかも決まって真夜中なもんだから、ここが田舎の一軒家じゃなかったらどうなってたことか。狂犬病かなんかの病気じゃないかと疑って何度も病院に連れて行ったけど、全部異常なし。精神病の類でも無いんだと。

子犬のころから注射でも雷でも騒がなかった利口な奴なのに、なんか変だよな?俺の家が悪いのかもしれないけど、俺に引っ越す金なんてないし、昔っから住んでるから家が原因ってわけじゃないと思う。

それにさ、ほら、ちょっと前にあっただろ?女子高生のバラバラ死体。あれが見つかるちょっと前からなんだよな。マメタが吠えるようになったの。……なんか気味悪いよな。それに見つかった女子高生、近所の子なんだよ。散歩中にばったり会って、マメタ触らせてやったこともあって、だからなんか余計にな。頭とかまだ見つかってないらしいし……

悪いな、お前にこんな話しちゃって。最近日に日にひどくなっててさ、このままいったらアイツどっかに預けることになるかも……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

奇怪なものたち @Gecko_man

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る