第43話 エンディング

 しとしとと降る雨が止み、ゆっくりと明るい日差しが雲間から差し込んでくる。




「アリア……」

「アーサー様……」

 お互いを支え合う、壮年の男女。

 今は国王となったアーサーと、王妃となったアリアの2人だ。


「陛下……お言葉を……」

「あぁ。皆、よく集まってくれた。皆の生前の父への忠誠に感謝する」

 この場に集まった多くのものが、アーサー国王の言葉を聞き、黙礼する。


「無事にこの国を導き、暗き企みから救った父である先代国王リナレス2世陛下に深い敬意と哀悼を表明する」

 今日ここは救国の英雄である一人の偉大な男を見送る場だ。

 皆、そのことを深く理解し、感謝していた。


「父の生涯は戦いの連続だった。今では考えられないことだが、一部の貴族たちが我が物顔で横暴な振る舞いをし、国政を荒らしていた。外国による侵略戦争があった。魔物との戦いも激しかった。そんな時代を、必死に国を……民を思いながら駆け抜けた。我々を導きながら。その結果として今がある」

 彼は長年の憂いであった貴族たちによる圧政を止めた。力づくで。


 彼は突如として巻き起こった帝国による侵略を止めた。聖女の力によって。


 彼は魔物の恐怖を止めた。カイラスレーヴェンバカエリオットたちバカを使って。



 そうして得た平和を今の人々はしっかりと噛みしめ、また将来に引き継ぐべく自分たちを律していた。


 彼が望み、作り上げたものだった。





 神の降臨にまで立ち会った偉大なる国王リナレス二世。


 その名は未来永劫語り継がれるだろう。


 この国があり続ける限り。



 アーサーとアリアはつつがなく王位を継ぎ、政治を継ぎ、国を継いだ。

 子供にも恵まれ、リナレス二世は晩年は孫との触れ合いを楽しんだ。


 もちろん、神からも言われたバカを生み出さないように目を光らせていたが、彼の孫世代は優秀で杞憂に終わった。




 一方でバカな子供はカイラスレーヴェンとともに回廊に封じられた。

 そこで何が起こり、どうなったのかは誰も知らない。 

 


 せいぜい言えることは、竜ですら阿鼻叫喚を轟かせる場所で人の中でも底辺に位置する夫婦がどうなったかなど、想像する必要もなかった。


 ちなみに、悪徳貴族たちは軒並み捕えられ、財産は全て没収され、爵位も剥奪された。その中からも、優秀なものは真面目に職務に励んで名誉を回復したが、そんなものはごくごく一部。多くのものは……こんな話を死者を送る時にする必要はないので止めよう。




 午前中はしとしとと降っていた雨は完全に止んだ。


 リナレス二世が収められた棺は丁重に運ばれ、生前の彼が慣れ親しんだ王城の庭園の隅に作られたお墓に納棺した。


 



<お疲れさまでしたわ、人の王よ。安らかに……>


 その場にいる者たちがハッと目をあげる。

 が、誰もいない。


 でも確かに声が聞こえた。


 皆が国王アーサーと王妃アリアの方を伺うが、2人はただ静かにまるで声の主に感謝を示すように深く礼をとった。


 それに続いて皆が礼をする。



 特に返す言葉は続いて来ないが、庭園に一斉に花が咲いた。


 もちろん豪奢に咲き誇るような造りに放っていない。


 間隔をあけて、整然と小ぶりな美しい花が並んだ景色は、真面目で忍耐深く聡明で温和で、それでいて力強かった国王陛下にとてもよく似合うものだったと、語り継がれることになるのだった。




fin.





『真面目で忍耐深く聡明で温和?』

『いいから黙っとれ!』








***

[あとがき]


 最後までお読みいただきありがとうございました。

 この作品は"小説家になろう"でポイントを取るにはどうしたらいいんだと考えながら書いていた作品の中の1つです。そんな短編として書いた作品が、まさか10万文字の長編になろうとは……。


 これもひとえに応援してくださった皆様のおかげです。


↓チャレンジに関してはこちら↓

https://kakuyomu.jp/works/16818093075009343017


↓当作品の関連記事はこちら↓

https://kakuyomu.jp/works/16818093075009343017/episodes/16818093084686108859


 そして、短編として一度完結しているお話を組み合わせてさらに加筆していくスタイルで、今までと違ってストックをあまり持たずに書きながら連載してみました。過去には1週間で10万文字書き上げた『義妹が婚約破棄された』や、カクヨムコン期間中に3作同時連載的な状況になって必死に書き続けた作品群『仲間を庇って~』『世界を救うため~』『旦那様が自由奔放』などもありますが、プロットすら組み上げずに書いたのは初めてのことでして、初体験でした。


 結果、自作品としては5つ目の1,000作品フォロー突破作品となりました。

 ありがとうございました。

 (もしよろしければ、星評価を頂けるととっても嬉しいです♪)


 引き続き、いろんなお話を書いていきたいと思いますので、もしよろしければ作者フォローしていただければ、新作公開の際にご案内が届くと思います。どうぞよろしくお願いいたします。


 

 ちなみに、7/24から新作公開開始しました!

 どうぞよろしくお願いします!


クソゲー改編~魔王を倒して帰還したら、最愛の義妹は婚約破棄されて悪霊の生贄にされ、恋人のはずの聖女は実は王子の愛人で騙されていただけだった……っていうゲーム世界に転生したので『もちろん改編してやる!』https://kakuyomu.jp/works/16818792435762756841



 ということで、最後の最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!


2025/5/12

蒼井星空

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国王陛下の嘆き~優秀な聖女との婚約を勝手に破棄して国を荒廃させそうなバカ息子(王子)たちにコラッってするお話 蒼井星空 @lordwind777

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