第2話
小学6年生のけんじは今日も朝から憂鬱な気持ちで、通学路をとぼとぼ歩いていた。
「おはよう。けんじ!」後ろからこうたの声が聞こえた。
「おはよう。こうた」
「朝から元気ないな。なんかあったの?」
「明日から、朝ごはんいらないってお母さんに言ったら怒られた。」
「そんなことかよ~。かいと保育園のころから痩せ気味だしお母さんも心配してるんだよ。きっと。」
「でもさ。朝起きてすぐって全然お腹すかなくない?」
「俺は朝ごはん食べないと、昼の給食でお代わりしすぎて、みんなの分の給食が足りなくなっちゃうよ。」
「それは困るよ」と言うと、こうたは笑った。
「ありがとう、なんか元気出た。」
「そんなことでクヨクヨ落ち込むなって」
通学路を歩いていく。
けんじは、がりがりで痩せ気味なのに対して、こうたは低学年のころから肉付きもよく身長も高い。性格も内気で何事もネガティブに捉えてしまい、友達も少ないけんじに対して、こうたは、誰にで明るく接してやさしいので友達も多い。この対照的な2人は保育園からの幼馴染で、家が近いからこうたから、サッカーやキャッチボールなどの遊びに誘われているうちにとても仲が良くなった。クラスが違っても毎年、話しかけてくれるのは、こうたくらいだった。
同じクラスになれなくても、通学路が同じだから、毎朝出会う。
「昨日のドラマ見た?」などの他愛ない話をして、2人で学校に向かうのが小学1年生から続いている。こうたは聞き上手で、今日みたいに朝から嫌なことがあったりしたときいつも相談に乗ってもらっている。
「けんじ、あの噂知ってるか?」
給食を食べ終えた休憩時間、こうたが話しかけてきた。
「噂って?」
「この街にランニング星人がいるっていう噂だよ。いっつも走ってて声をかけても無表情、街中をよく走っているから「ランニング星人」。」
「なにそれ(笑)」けんじは鼻で笑った。
「マジなんだって!隣のクラスのたかおいるだろ?陸上習ってて学年で一番足が速いやつ。あいつが下校中にランニング星人を見つけて、後をつけて走ったけど、追いつけずに走り去っていったらしい。あいつが追い付けないってどんだけ早いんだよって話。」
「男?女?」
「男、若くも見えるし、老けても見えるってたかおは言ってた。」
「ふーーーん。」
「お前、信じてないだろ。今日一緒に帰ろうぜ。もしかしたらランニング星人を見ることができるかもしれない。」
「いいよ。」
ランニング星人 @okomenotaruto
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