第7話
◽︎
店内も、やはりお洒落だった。
もうクローズして片付けも終わっているので、きっと営業中よりは照明も暗いのだとは思うけれどその温かい灯りの色は、見つめるだけで優しい気持ちにさせる。
決して広すぎないその店内は、内装もウッドベースに仕上げられていて全体的に落ち着いた雰囲気がある。
「カウンター座って。」
「あ、はい、」
キョロキョロと中を見渡してしまった私の様子にクスリと笑った彼は、カウンターの反対側へ回る。
恐る恐る少し高めの椅子に腰かけた私に、それから数分後、クリーム色の可愛らしい陶器のマグカップをそっとカウンターに置いてくれた。
「どうぞ。」
「あ、りがとうございます…」
そっと手にして顔を近づけるとふわりと湯気の熱を感じるとともにとても優しい香りがした。
口付けてゆっくりと流し込むと、フルーティなそれが私の喉をじんわりと潤す。
「…美味しいです。」
「良かった。丁度ハーブティーがあったから。」
「…ここは、カフェなんですか?」
「いや、全然。和食バルだよ。
このお茶、お店で出してないし。」
「え。」
「多分店長が好きで置いてるやつだな。勝手に使ったけどまあ良いや。」
ハーブティーの箱を見ながらそう呟く彼の発言に私は違和感を抱く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます