第16話
「ダメかな、姉様」
ミルキィはシルキィを見る。
「良いんじゃない?どうせ敵は一人だけなんだから」
シルキィは食事を終えたのか口元をナプキンで拭いながら答えた。
「じゃあそう言う事で」
クロハもフウも食事を済ませる。
「普通の人間がここまで来れると思うか?」
ホークも食事を終えてシルキィを見た。
「来れなくはないけどジャスティーレからなら十日はかかる。仕掛けるのは五日後の朝ね。そうすればこちらに向かう部隊もそう簡単にはジャスティーレに戻れないし巻き込まれなくて済むわ」
シルキィは笑顔で答える。
「セインティアがこっちに向かって来たらどーすんだ?」
ホークは可能性がある事を示唆した。
「その時はクロハにでも行ってもらおうかしら。彼、毒薬も詳しいから」
シルキィは言う。
「あっそ」
ホークは何とも言いにくい表情を見せた。
そしてホークの勘は当たる。
セインティアがクライシスエリアに進軍して来たのだ。
「一般の民さえ連れて来なければ勝機もあったんでしょうに」
セインティアの行動にシルキィは言う。
「あいつも何か考えてんだろう。気を付けようぜ。油断はいつでも禁物だ」
ホークがシルキィに言った。
「貴方には言われたくなかったわね」
シルキィは微笑う。
「お前の口癖が移ったんだよ」
ホークはムスッとした。
五日後、シルキィはクロハとホークだけをセインティア討伐に向かわせる。
ホークは見届け人で実行するのはクロハだ。
クロハは小さな鳥に化ける。
そしてセインティアの乗る馬車に素早く入り込んだ。
「私が死ねばついて来た民も死ぬ。試してみるかな?イーヴィルクロウ」
鳥に化けたクロハを見つけたセインティアが言う。
だがクロハは躊躇わずにくちばしでセインティアの首を刺した。
「毒か」
セインティアは何の抵抗もしない。
「捕まえたぞ、イーヴィルクロウ」
鳥の姿のままのクロハをセインティアは素手で捕まえる。
「私にこんな物は効かない。何故なら回復する為の犠牲が沢山居るからだ」
セインティアはそう言うと笑いながらクロハを両手で握り潰した。
しかしセインティアは途中で手と手を離す。
クロハの血で血塗れにはなったもののクロハの化けた鳥が跡形も無く消えていた。
「白き魔女か」
セインティアから笑顔が消える。
この時シルキィの前には血塗れのクロハの姿が。
シルキィは一瞬にしてクロハを治療した。
クロハはゆっくりと目を開ける。
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