第15話
「残念ね」
シルキィが不敵な笑みを浮かべた。
「流石は白き魔女。我が力、通じぬか」
セインティアが微笑う。
次の瞬間セインティアは自ら腹部を氷の刃で貫いた。
それとほぼ同時に非常事態を知らせる鐘が鳴る。
「これはーー」
ホークがシルキィを見た。
「居れば檻の中。逃げても檻の中ってやつかしら?」
シルキィは笑顔で答える。
「悪いな。大人しくしている自信は無い」
「私もよ」
ホークシルキィがそう言うとミルキィがフウの手首を掴んだ。
「こっちだ」
クロハは窓からミルキィとフウを連れて素早くその場から逃げ出す。
「また逢えたら逢いましょうね。バルガルド。私は貴方を聖者とは認めない」
シルキィはセインティアにそう言うとホークと窓から外へと逃げ出した。
二羽の巨大な鳥がジャスティーレ教国を後にする。
バルガルドと言うのがセインティアの本当の名前らしい。
「あのまんま捕まってたらどうするつもりだったんだよ」
ホークがシルキィに聞いた。
「逃げ道ならちゃんと確認したし、扉は開かなくしておいたわ。セインティアが無事だったかは明後日になればわかるから今は放っておくのね」
シルキィは「うふふふ」と微笑う。
ホークとクロハは近くに降りてシルキィの力によって彼女達の城に戻った。
明後日、ジャスティーレ教国は七日に一度の祝日となる。
カレンダーで言う日曜日の事だが曜日の無いこの世界では殆ど休みが無い。
この日はセインティアが人々の前に現れて皆の為に神に祈りを捧げる日でもあった。
セインティアはこの日、車椅子で現れる。
「悪魔がこの世に降り立ちました。勇気ある者は私と共に悪魔を討ちましょう」
セインティアがそう言うと当然国民達は立ち上がった。
城の中からその光景を見ていたホークは肉を頬張りながらムスッとする。
「折角の美味しいお肉だよ?もっと美味しそうに食べてよ」
ミルキィもお肉を頬張りながらホークに文句を言った。
「国民と戦う気なんて無いぞ」
ホークはシルキィを見る。
「私にも無いわよ」
シルキィは水を飲みながら答えた。
フウもクロハもパンやチーズを食べている。
彼等は食事をしながら今の光景見ていたらしい。
「悪魔の居場所は知っている。皆、早速乗り込もうではないか」
セインティアが言った。
「チャンスだねぇ」
ミルキィがニヤける。
「出陣させといてこっちからも向こうに乗り込むってか?」
ホークがミルキィを見た。
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