第10話

「姉様」

ミルキィがシルキィを呼ぶ。

「どうしたの?そんなに慌てて」

シルキィはミルキィをゆっくりと見た。

「見て、これ」

ミルキィは一枚の紙をシルキィに渡す。

その紙に目を通したシルキィは黙ったまま表情をしかめた。

(?)

クロハとホークもシルキィの背後からその紙に目を通す。

身長差の問題でフウにはそれが出来なかったのだ。

「いきなり除け者にしないでください」

フウは泣きたくなる。

「あ、わりぃわりぃ」

ホークは申し訳無さそうに苦笑した。

「ボーレスランドを焼き尽くした炎の鳥に一億レブの懸賞金ですって」

シルキィは笑顔でホークを見る。

さっきの険しい表情は何処へやら。

「売る気かよ」

「お金さえ手に入れば逃げて来て構わないけど」

「あれはぶちキレた時にしか発動しないの」

「火の鳥と炎の鳥は違うのかしら」

「規模が違う」

「試さない?」

「ノー」

シルキィの言葉にホークは言い切った。

シルキィはつまらなさそうな表情を見せる。

「レブって事はジャスティーレですか?」

フウがシルキィを見た。

「そうみたいよ。はい、フウも読んでおいた方が良いわ」

シルキィはミルキィが持って来た紙をフウに渡す。

そこには『人が住まう一つの国を焼き尽くした炎の鳥を大量虐殺の罪で指名手配する。捕らえし者には一億レブの謝礼を出す。ジャスティーレ教国国王・セインティア十二世』と書かれていた。

「十二世?」

フウはそこが引っかかったらしい。

「先代の十一世は不審な死を遂げているわ。乗り込む価値はあってよ」

シルキィは再び笑顔でホークを見る。

「いちいち笑顔でこっち見るな」

ホークはシルキィを見ない。

「一緒に行かない?」

シルキィはさっきとは条件を変えて来た。

「宝石や貴金属を売りに行きたいの。ボディーガードとしてクロハと来てくれないかしら。ミルキィとフウも連れて行くけど」

シルキィにそう言われたホークは「みんなで行くなら」と仕方無さそうに答える。

「稼ぎ時だね、姉様」

ミルキィが喜んだ。

シルキィは不敵に微笑んでいる。

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