第8話
「勿論信じるさ。だが――」
ホークは夢か幻か戸惑っているらしい。
「確かにここは貴方の精神世界です。とある方にこの世界に導かれました」
ウィンズはシルキィの名前は伏せて自分が何故ホークの精神世界に居るのかと言う説明は済ませる。
「それは神か?」
「残念ながら違うかもしれません」
「ならば悪魔か」
ウィンズの言葉にホークは何とも言いにくい表情を見せた。
『悪魔のついでに教えよう。汝が望めばそやつは現世に蘇る。共に生の世界に戻るか共に滅ぶかを選べ』
シルキィとは違う声がホークの精神世界に響き渡る。
「俺の声?」
聞こえた声が自分と同じ声である事に気付いたホークは表情をしかめた。
『俺はお前の闇。悪魔の使いさ』
黒髪に色黒の肌のホークがホークの前に現れる。
彼をダークホークと呼ぼう。
「生を選べば本当にウィンズも蘇るのか?」
ホークはダークホークに確認した。
「悪魔のやる事だからなぁ」
ダークホークは意地悪そうに微笑う。
「どうすれば生の世界に戻れる?」
ホークがダークホークに質問した。
ホークの瞳にはいつの間にか生気が戻っている。
「選べば良いだけさ。生きるか死ぬかを――な」
そう答えたダークホークが徐々に霞んで行った。
いや、ホークの精神世界全てが霞んでいる。
一瞬の闇の後、ホークは現実世界で目を醒ました。
「ようやく起きたわね」
シルキィは何事も無くただホークをベッドに寝かせていただけの様に振る舞う。
「ウィ――いや、何でも無い」
ホークはウィンズが本当に蘇ったのかをシルキィに聞こうとした。
だがそれと同時にあれは夢の中での出来事と片付けようとした彼が居たのも事実である。
「いらっしゃい。貴方が一番逢いたい存在に逢わせてあげるわ」
シルキィはそう言いながらホークを置いて部屋を出て行った。
ホークは表情をしかめながらシルキィの後を追う。
シルキィはあの不老不死を与えると言うダイアの前に居た。
そこには見覚えのあるフードを被った存在が居る。
「ウィンズか?」
ホークは直感でそう聞いた。
シルキィが「どうぞ」と言う手振りをするとフードを被った存在が振り向いてからフードを外す。
その姿は確かにウィンズだった。
「蘇ったのか?」
ホークはウィンズの前に立つ。
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