第5話

「あらあら。とうとう本性を表しましたわねぇ、ミコト」

教会に結界を張ったファウラスは空に浮かんだ状態で目の前に居るミコトを見て微笑む。

「余裕ですね、グランマ」

ミコトは微笑みながら目映い光を放つ。

「グールを操っていたのはお前だったのか、ミコト」

ファウラスとミコトの間に誰かが現れる。

(ディアブロ?)

ジークは眉をひそめた。

ファウラスの前に居るのはダビデ寮の問題児・ディアブロと言う青年だった。

ミコトがディアブロに気を取られている内にまた別の存在がファウラスの前に現れる。

ルカ寮の優等生・アンジェだ。

「無事だったのですね、アンジェ」

ファウラスはアンジェの姿を見て喜ぶ。

「俺も無事だったんだけどなぁ」

ディアブロは何とも言えない表情をする。

「グールに喰われてしまえ。今頃ペテロ寮の奴等は全滅してるだろうさ」

ミコトは三人の前から姿を消す。

逆に何体ものグールが姿を現す。

グールは煙の様な存在だが、このグールに肉体を喰われた者もグールになってしまう。

「カラーチェンジ、白」

ディアブロの服と髪の一部が真っ白になる。

「行くぞ、アンジェ」

「指示しないで下さいな」

「へぇへぇ」

今にも喧嘩しそうな二人だが二人はすぐにグールを浄化の光でかき消して見せた。

その直後ディアブロの姿は元に戻った。

「中に戻りましょう」

ファウラスは二人を連れて教会の中に戻る。

「ディアブロ」

ジークがディアブロに近付く。

「すんません、寮長。寮を抜け出している内にこんな事になっちまって…」

「今回だけは許してやる。無事で何よりだ」

「ありがとうございます」

ディアブロはジークに頭を下げる。

「ジーク、ゲイル」

ファウラスが二人を呼ぶ。

「何でしょうか」

ゲイルがファウラスを見るとジークもファウラスを見る。

「ディアブロとアンジェをこの二人と共に旅に出してよろしいかしら」

ファウラスは急にそう思いついて寮長であるジークとゲイルに聞いたらしい。

「わたくしは構いませんけど…」

「俺も構いませんよ。ファウラス様に何かお考えのある事なんでしょうから」

ゲイルとジークはファウラスの案に素早く賛成する。

「こいつに旅なんて出来るのかよ」

ディアブロはアンジェを指差して言う。

「だからファウラス様に良いお考えがあるのだろうよ」

ジークは片腕でディアブロの首根っこを掴んで言う。

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